春とヒコーキ土岡哲朗

劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明の春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

世界は圧倒的な力を持っている。

世界はたくさんの命を産むが、人間が世界を知ろうとすると命を落とす。人の命を自分の目的のために淡々と使える心のない人間を、心ある人間がどれだけ憎んでも、奪われた命は戻ってこないし、事実だけが現実。そんな怖いこと、厳しいことをずっと見せられる。
しかし、人間は世界を知る好奇心を持っていて、どんなに残酷な世界でもロマンを感じられるのが人間の強さでもある。

小さな女の子が生きたまま人間ではない物体に変えられる恐怖は、テレビシリーズでも味わったのに、映画でもまた見せられた。これについては、同じ展開だなという気持ちもある。しかし、今回は主人公たちと慣れ親しんだ女の子が、父を裏切って主人公たちを助け、冒険に行きたいと願い、人間ではないものにさせられるという、フリの大きさによって胸糞悪さが格段に違う。しかも、その子が肉のカバンにされたと分かったあと、さらに彼女が主人公たちと出会うまでの回想シーンが入る。情の湧いたキャラクターが肉のカバンにされたのに、さらに肉のカバンにされるという結果が分かった上でまたその子がれっきとした人間だったのを見せてくる、鬼畜構成。本作の敵であるボンボルドは、日本アニメ史に残る最悪の人間。