生姜異物強壮2

ゴーストバスターズ/アフターライフの生姜異物強壮2のレビュー・感想・評価

3.9
ナンだかなあ(複雑)。俺たち昭和人は楽しめるよ? とでも割り切ったかのような「敬老」活劇ムービー。本当なら彼ひとりで主演を張れるようなポール・ラッドが、最後はカンペキ「脇役」に回されてしまうw という驚愕の展開オチ。

前作みたく『ゴーストバスターズ』のリブートじゃなく、あくまで『ゴーストバスターズ3』だとは聞いてたので、「たぶん、こういう筋書きになるんだろうな…とは予感できてたが、CGでの「蘇(よみがえ)り再登板」となった"影の主役"ハロルド・レイミス。かつて監督した『恋はデジャブ』で主演ビル・マーレイと大喧嘩して以来、死ぬまで、マーレイからは疎(うと)まれてたんだよな。

この脚本をよく、そのマーレイが受け容れた。

もう年齢が年齢だから、いい加減、和解の記(しる)しを彼の霊に手向けてもいい頃合いだと思ったのかも?しれない。そも、レイミスの晩年にも(ギクシャクした二人の水面下では)『3』での"仲直り企画"が模索されてたワケだし。本作は、レイミスを脚本上「善なるゴースト化」させることで、ポシャった『3企画』の仕切り直しを実現した、とも言える。

予告トレイラーでは「令和のファミリー向け冒険ムービー」かと思いきや、出来た作品は (ストーリーが終盤に差し掛かれば 差し掛かるほど)思いっきり「昭和の中高年向け同窓会ムービー」に舵を切ってしまってた。いいのかよ?? これじゃ元祖『ゴーストバスターズ』をリアルタイムに観てない世代には、ストーリーに没入する醍醐味が尻切れトンボのごとく失速してやしないか?との危惧を禁じえん。

現代(いま)の人にとって、今に生き続けるゴーストバスターズの面々は「単なる4人の爺ちゃんたち」にしか映らないハズだ。自分がリアルタイム鑑賞世代だったからこそ、『令和のエンタメ大作』としての興行目的に鑑み、果たして「あんなクライマックスの持ってきかた」が正しかったのか。そこだけは「あまり褒められた演出じゃない」ような気がしてならない。

…最後に。

欧米のゴースト物を観ていつも想うことだけど、亡霊 =「この世に思い残すことがあると成仏できず、地上に残されたまま、彷徨(さまよ)えるゴーストとなる」という概念は、この映画でも使われて日本人の感性にも馴染みやすかった。仏教とキリスト教ほどに信仰が異なっても、そこの理屈は共通なのって返す返すも不思議だねえ。