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道草のluckyfieldのレビュー・感想・評価

道草(2018年製作の映画)
4.2
この日本社会において、知的障害者の居場所は限られている。時にその存在さえ感じさせないように、注意深く排除されている。それは隔離ではなく排除である。そして、そうさせているのは「わたし」だ。
わたしも必ず誰かの世話になって生かしてもらっている。それも1人ではなくたくさんの人に迷惑をかけながら自分の人生を作らせてもらっている。
人はそうして生きているのだ。誰の世話にもならない、誰にも迷惑をかけないで、自分の人生を歩んでいる人はいない。にもかかわらず「障害」者を同じ社会に存在することを許さない。
この映画では「障害」者を支援する人がいて、その人と散歩する。外に出て(社会に参加して)自分が生きていることを感じるのだろうか、他害や自傷により外出を制限されていた男性の笑顔が眩しい。
他害行為はたしかに難しい問題ではあるが、外出などを「判断」するのは、「障害」のない人たちだ。ダイバーシティ&インクルージョン(多様性が包括された)社会の実現は、そのシステムに疑問を持つことから始まるのではないだろうか、と考えさせてもらえた映画だった。
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