えり

魔女がいっぱいのえりのネタバレレビュー・内容・結末

魔女がいっぱい(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

原作がなによりも好きなので観ましたが、まずまずの実写化だと思います。
舞台がアメリカに移っていることでポップな雰囲気でおばあちゃんもパワフルな印象になっている(原作とは違うテイストのパワフルさ)のですが、映画の方のおばあちゃんもまたその身に病を抱えています。ただ、これは原作に寄せた方がラストがスッキリしたんじゃ……と思いますね。ネズミになった「ぼく」と病気のおばあちゃんの寿命がだいたい同じ、というのがラストの救いであり同時にやるせない悲しみでもありますから。

それはさておき、アン・ハサウェイの大魔女は実写化としてまさしく最高であると言わざるを得ません。美しく、高貴でありながらに誰よりも凶悪で恐ろしい。
難を言えば大魔女は支配人をああいうふうには恫喝しないのでは……というのが解釈違いとも言えますが、個人的には許容範囲です。アン・ハサウェイは最高なので。
ブルーノくんと支配人もまるで作中から出てきたかのようなビジュアルでした。完璧。

あと、映画のオリジナル設定で好きだったのは、おばあちゃんと大魔女の確執の部分でしょうか。
原作ではおばあちゃんが魔女に出会った時のことは詳細に語られませんが、かつておばあちゃんが魔女に遭遇したシールでは思わず快哉を叫びそうになりましたね……ここ大好き。

きちんと字幕で「処方第86番、時限ネズミニナール」としてくれるところも邦題も最高でしたし、スットビニャーゴの卵は探しにいかんのか……などと思ったりはしましたが、ラストで大魔女との対決をもってくるあたりはハラハラして非常に見応えがありました。

原作とは違い、両親に受け入れてもらえなかったブルーノくんと孤児のメアリーが「ぼく」とおばあちゃんと共に暮らすことになるあたりに慈悲とも言うべき優しさを感じましたが、このあたりもまたアメリカ映画だなあという感じ。
ダールらしいえぐみがマイルドになった分、物足りなさは感じますが同時に明るさは増してクリスマスシーズンの映画としては楽しいな、という印象です。
えり

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