一休

魔女がいっぱいの一休のレビュー・感想・評価

魔女がいっぱい(2020年製作の映画)
3.5
おでこが広くて口が大きい女性につい目が行ってしまうのは、祖母→母親と我が家系の女性にそういった顔つきが多いというのが関係しているかもしれない。
そんなわけで子どもの頃からソフィア・ローレンやクラウディア・カルディナーレ、キャプシーヌと口が大きい女優さんのファンだったのは、すでに変態指向だったからかもしれない。
近頃、美人なのに口に個性が集まる女優さんといえば、アン・ハサウェイが第一に挙げられるだろう。
そのアン・ハサウェイが個性をモロ出しの魔女を演じるという【魔女がいっぱい】は、監督がロバート・ゼメキスであるだけではなく、脚本にギレルモ・デル・トロが参加しているとなると、もう期待満々としか言いようがない。(ノ ´ー`)ノフッ
事故でいっぺんに両親を亡くした男の子(ヒーロー・ボーイ)は、おばあちゃんに引き取られ一緒に暮らすことになった。おばあちゃんは、孫を元気づけようとアレコレやってみるが、簡単に気が晴れる事はなかった。そこで、二人でドライブ旅行に出る。ところが、その旅先で泊まったホテルで、ある不思議な女性に出会うとおばあちゃんの顔色が変わった。
その女性は魔女の中の女王・大魔女で、子どもの頃に親友が鶏に変えられてしまうのを目撃したのだった。
そのホテルでは、大魔女が各地に散らばる魔女たちを集めて、嫌いな子どもをねずみに変えるという成果の大会議をしていたのだ。
充分に気を付けていたのだが、孫がねずみに変えられ、しかもねずみに変えられてしまった子どもが、他にも2人もいることが分かった。
ねずみに変えられてしまったヒーロー・ボーイを中心に、魔女たちの裏をかきながら、一気に魔女たちをねずみに変えるという作戦が成功していくのだが、大魔女だけは取りこぼしてしまい、ついには大魔女とおばあちゃんの直接対決が始まる。

そういったストーリーは、元は【チャーリーとチョコレート工場】のロアルド・ダールの原作だ。
ずいぶん前にも【大魔女をやっつけろ!】という題で映画化されていたが、その頃と一番違うのは、主要キャラクターが、大魔女以外はすべて黒人役者が演じているという事だ。
ロアルド・ダールは、名前からも分かるように北欧ノルウェーの移民の子だったので、出てくるキャラクターは北欧風の白人ばかりだったのだが、昨今締結されたいわゆるハリウッドルールによってそうなっている。
それ自体はまぁ良いとしても、その美貌の目を見開き、口をがっぱり開け、手を張り、胸を突き出し、脚を投げ出して演技をしているアン・ハサウェイを尻目に、他の役者さんはほとんど全てがCGなりSFXなりに頼りっきりで、どうお世辞に言っても良い演技をしているとは言い難い。
おばあちゃんにオクタビア・スペンサー、ホテルの支配人にスタンリー・トゥッチと、せっかく良い俳優さんを配しているのに、何とかならなかったのかと思ってしまう。
しかし、まぁそれも、このコロナ禍で、監督たちに何かしらの制約があったのかもしれないと、ちょっと可哀相な気がするのも確かである。

魔女たちが手袋を脱ぐと、三本指であり、靴を脱ぐと指が無かったりするのが、先天的な欠損状態の人を揶揄していると、その手の協会からクレームがついたそうだが、昭和40年代に「妖怪人間ベム」を見て子ども時代を送っているオイラ的には、「怖そうなのと人の中味は違う」という認識が染みついており、日本人で良かったな~と思う一休なのであった。
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