せいか

魔女がいっぱいのせいかのレビュー・感想・評価

魔女がいっぱい(2020年製作の映画)
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7.21、レンタルDVDにて視聴。

見た目だけの映画。ほんとに見た目だけの映画。それだけ。

原作をいろいろ改変しまくっているがそこに意味を何ら載せていないし、それにしたって一つの作品として何もない。せいぜい、祖母がネズミになった孫に対して、「どんな姿でも私があなたを愛するわ」というようなこと言ってたところが沁みただけ。

1960年代のアラバマ州で、主人公である孫と祖母も黒人に変えてるのですが、そうした時代性に全く意味を乗せていないというか、60年代アメリカと黒人っていろいろあったよね?!?!なのだけど、そのへんファンタジーの靄でいいように包んでいて全く現実の彼ら彼女らの存在を無視している。あえて変えるくらいならちゃんと意味を持たせなさいよである。

魔女というものの存在を深堀りすることもなく、単なる悪であるだけの存在としてしか表現せず、深みはない。ラストは魔女がトランクいっぱいに詰め込んでいた恐ろしい大金を当然のようにかっぱらうという、ヘンゼルとグレーテルっぷりだ。

監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でおなじみのロバート・ゼメキスだが、少なくとも本作においては都合のいい郷愁のようなものだけを60年代に仮託して作ってるだけで、特典のメイキングの最初のほうでアメリカというものを描いてきた監督だとか紹介されていたけど、どこが?て感じである。都合のいい勧善懲悪でブラックウォッシングとしか言えないようなもの作って中身空っぽでちゃっかり得るものは得て、あとは悪は皆殺しにしてジャスティス!というのがアメリカを描くってこと?て感じだ。……念のため言っておきますが本作への嫌みで言っております。そういうことにしておこう。

製作のデルトロが監督だったらもっとこの改変設定でもちゃんと見応えのある、中身のある作品にしてたんじゃないのかなあとか、名前があがってるばかりにそう思ってしまう。

社会背景を踏まえつつ、そこに魔女という存在を紛らわせる意味を持たせつつ、さらに魔女という存在そのものが抱えている彼女たち自身の闇にもクローズアップさせつつ作れたと思うんですよね。
諧謔的に作っていくなら作るにしてももっと皮肉込めつつ映像化できただろうし。

駄作である。
せいか

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