「中」にいながら「外」にいる医療者には、決して見えていない世界が、ここには描かれている作品。
描けた理想と描けない現実。
一人ひとりの人生を丁寧に描こうと思ったら、2時間の映画では到底収まりきらない。
それまでどう生きてきたのか、病気を発症したことにどんな意味があるのか、そのことで人生がどうなってしまったのか、なぜそんなことをするに至ったのか、そこに至るまでの物語は、想像するしかないし、あるいは想像さえしないかもしれない。
人が精神のバランスを崩すのは、弱いからじゃない。
むしろ人としてのまともな感性があるからではないか。そんなことを感じさせてくれる作品です。
ボロボロだけれど、美しい。って言葉にすると陳腐に。やっぱり語るより、観て感じる映画です。
温かく、こんな時代に一筋の希望を感じさせてくれる作品でした。