ヨーテボリ映画祭の過去作セレクションで。
国境警備員のシングルマザーと同性愛で国を追われた亡命希望の女性の思いがけない絆の物語。
シングルマザーの貧困と移民難民受入のドラマでもある。
カードは止められ貯金も尽きてアパートを追い出され余儀なく車で生活、アイスランドのレイキャビク空港で研修生(訓練生)として働くことになったラーラが、ある日入国審査の仕事でギニアからの旅行者アイジャの不審点に気づきその女性を一時収容先へ送る。
あくまで仕事で毎日たくさんの人の入国をチェックしているだけだが、この1つの出会いが後の二人の生活を変えていく。
最初こそぎこちなく気まずかった二人だが、入国審査がペンディングになってる間難民センターで生活していたアイジャがラーラの息子を助けてくれたこともあって二人が打ち解けてくる。
職務を全うして評価と安定した収入を得て息子と新しいアパートに暮らすのがラーラのこの時点での目的だったと思うが、難民の姿や亡命叶わず無情に強制送還される人々を見て彼女の心の中で何かが動く。制服を着てルールと規律に則り仕事をしている時に、1人の人間としての何かが心に沸き上がった瞬間だと思う。
ラーラの行動は法的にはアウトにきまってるんだけど、それまでに感じたアイジャの寛大な心と分け隔てなく人として純粋にアイジャになつく息子の姿を見ると、その行動の気持ちはわからなくもない。
あとアイジャが亡命を希望した理由が壮絶。同性愛者が悪とされパートナーが殺され、自身も危険だからという理由。
それ立派な亡命理由になると思うんだけど、お役所仕事は融通が効かないというか。証拠を持ってこいとは残酷だった。そういう手続きを踏まないとキリがないのはわかるけど、こういうのは1つずつ適した血の通った対応してほしいものだなと思う。
原題、英題共に「そして普通に呼吸する」。確かにそういう終わりかただった。
その後の二人の人生うまくいきますように。
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