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貞子のBellのレビュー・感想・評価

貞子(2019年製作の映画)
3.0
『リング』から続く、この一連のシリーズ、ほとんど見て来てると思う私です。

今回は、どんな貞子が出て来るのか、ちょっと楽しみでした。


物語は、というと。

カウンセラーとして働く、ヒロイン・茉優の勤める病院に、警察に保護された少女が入院してきます。

記憶を失い、心も閉ざしているその少女、実は、1週間前に沢山の死者を出した団地放火事件の犯人の家に住んでいた、犯人の娘らしいことが分かります。

そんな少女のカウンセリングを担当する茉優は、カウンセリングを通して、少女が、母親から「貞子の生まれ変わり」と言われ続け、団地の部屋のクローゼットに監禁されていたことを知るのでした。

そして、その少女の周りでは、奇怪な現象が起こり始めます。

一方、茉優の弟で動画クリエイターの和真は、自分の投稿動画の再生数や登録者数を増やすために、「肝試し動画」と称して、件の団地火災の現場に不法侵入。

そこで、「何か」を見た後、行方をくらませるのでした。

たった一人の肉親である弟の行方を探す茉優は、弟も「貞子」の呪いに関わってしまったと推測し、貞子のゆかりの地、大島へ向かうのでした・・・。



というのがあらすじですが。


正直、あまり怖くなかったですA^^;;

予告編で、ユーチューバーっぽい人が、何やら、危険そうな動画を撮影している映像があったので、てっきり、そういう動画サイトを介しての呪いの拡散かなぁと思ったのですよ。

なんといっても、貞子といえば、呪いの拡散ですものね。

ですが、今回は、そういう呪いの拡散はなかったです。

また、登場人物達や、貞子の生まれ変わりと呼ばれた少女においても、貞子との接点が曖昧で。。。

どうして、彼女達の元に貞子がやってきたのかも、分からない感じでした。

まあ、強いて言うなら、「親に捨てられた子供」というのが、貞子との共通点だったのかな?


でも、この映画のシリーズ1作目の『リング』を意識した作りになっていた点は、とても興味深かったです。

物語の最初に、ヒロイン茉優の患者役として佐藤仁美さんが登場していたのですよ。

それを見た瞬間、「おっ!!まさか!!」と思ったのですが、やはり、予想通りでした。

シリーズ1、2で、呪いに関わってしまった女子高生役が佐藤仁美さんだったのですが、やはり、それと同じキャラだったのですね。

ということは、彼女はあの時からずーっと、呪いに囚われてしまったままだったのか・・・と思うと、とても怖かったです。

でも、その呪いも、最後の最後、貞子で決着が付いていましたが。

最初の作品と、世界観が繋がっている、続いている・・・というのも面白かったです。



また、茉優が、弟の知人と一緒に大島に向かったり、洞窟を探索するシーンは『リング』の松嶋菜々子さんと真田広之さんのシーンを思い出しましたし。

洞窟の水たまりの中で、貞子に囚われた少女を抱きしめるシーンは、『リング』のラストと被りましたし。

色々と『リング』のオマージュ的なシーンが多かったように思え、興味深かったです。

ただ、全体的に怖さはなかったのですよね。

ドキドキしたのは、ヒロインの弟が、放火現場に侵入して動画を撮影するシーンくらいかな。

あそこは怖かった!!


思うに。

『リング』の時代は、ビデオテープを媒介して拡散していく呪いでしたが。ビデオテープを介してというのは、拡散しそうで、なかなか拡散しないのですよね。でも、ゆっくりでも、じわりじわりと広がっていく呪い。いつかは自分の所に来るかもしれないという不安感。恐怖。

その点が、心理的に凄く怖かったと思うのです。

一方、現在は、ネットがあるので、拡散しようと思えば、あっという間に呪いでもなんでも拡散出来ちゃう。

それはそれで恐怖ですが、それは、パニック的な恐怖であり、ジワリと迫り来る恐怖とは、また違う質の怖さなのですよね。

今回は、ネットや動画などでの呪いの拡散は無かったですが、アナログのビデオテープではなく、ネットで何でも拡散できる時代になったからこそ、『リング』の時のような怖さは描けなくなってしまったのかなぁとも思いました。それはそれで、ちょっと寂しいですね。

私は、アナログでジワジワと来る恐怖が好きだなぁ。



・・・という感じで、あまり恐怖感はなく、また、貞子の呪いと登場人物達のとの関連性も曖昧な感じでしたが、色々とシリーズ1作目との繋がりを感じされる点は面白かったと思います。
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