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燃えよ剣のradioradio526のレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
3.7
「全て切り捨てる気組みで行く!」

「燃えよ剣」鑑賞。

新選組副長・土方歳三の生涯を描き、過去に映画・ドラマ化もされてきた司馬遼太郎の歴史小説を「関ヶ原」の原田眞人監督&岡田准一主演の再タッグで新たに映画化。
江戸時代末期。黒船の来航により、外国から日本を守るため幕府の権力を回復させようとする佐幕派と、天皇を中心にした新政権を目指す討幕派の対立が深まりつつあった。
武州多摩の農家に生まれた土方歳三は「武士になりたい」という思いで近藤勇、沖田総司ら同志とともに京都へ向かう。芹沢鴨を局長に、徳川幕府の後ろ盾で新選組を結成。土方は「鬼の副長」と恐れられながら、討幕派の制圧のため京都の町で活躍を見せるが……。

あまりに好き過ぎる原作の映画化は観るのが怖い…本当に怖い。
「燃えよ剣」は好きとかじゃなくて私的バイブルであり、自身の歴史好きの原点になった作品なので…観ようかどうしようか本気で悩んだ。
意を決して観ようと思ったのは、原田眞人監督だからだ。
「関ケ原」はかなり素晴らしかった…史実云々じゃなくリアリティに寄せた作り方に唸ってしまった。あの字幕が必要な薩摩言葉には心底シビれた。
あれは言葉の意味よりもその熱量を伝えたかったんだと受け取った。
今作のレビュー、案の定「歴史を知ってないとおいていかれる」みたいなのが散見していたが、それならばむしろ観たいと思って劇場へ。

感想としては「観て良かった」…迷いながら観に行ったのも良かったのかも。

尺としてはかなりのスピードで史実を追う形なので、確かに知らないと少々置き去り感はあるかもしれない。しかし、ストーリーを追うことがそれほど意味のあることなのかどうか。
土方が回顧する形で、それぞれの有名なエピソードが語られる。
それがストーリーのメリハリ感を演出してくれるのでそれほど難しい印象は無い。
個人的には池田屋騒動よりも芹沢鴨暗殺に至るシーンが秀逸だったと思う。
芹沢鴨の伊藤英明がハマりすぎということもあるが、新選組の暗部というべきほの暗い事件を鮮明かつリアルに描いている。暗殺現場に入る時の約束事などはかなり現実的であり、多分そうだったんだと思わせる。

土方の想い人として登場する柴咲コウ演じるお雪。原作ではもっと可憐で線の細い女性という印象があったが、映画では戦での負傷兵を看護し、助けるような強い女性像を見せる。あれっと思ったが、柴咲コウの意思の強い眼差しから、こういう「お雪さん」も悪くない。

残念なのが一つだけ…土方の死に様。
出来ればここだけは原作のイメージを大切にして欲しかった。
イメージと少しばかり違っていたが、ごめんなさい…ガチガチの原作派の戯言と思って頂ければ幸いです。
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