FutosiSaito

燃えよ剣のFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
3.8
 『ワイルド7』の望月三起也が描いた1979年の『俺の新選組』に似ているというか、望月が1964年の『燃えよ剣』を参考にしたのか。
 池田屋の描写など、臨場感が、その雰囲気も同じものがあった。
 土方歳三は岡田准一のはまり役であろう。荒々しい実践的な剣術も含め、うってつけだった。武州の田舎から出た近藤勇の鈴木亮平もしかり、かって『海賊とよばれた男』でも共演し、当時の総理大臣:安倍晋三にも二人で会っているし。
 新選組は、創作者の気を引くらしく、三谷幸喜の大河ドラマもあるし、大島渚の1999年『御法度』も印象に残っている。衆道(男色)が物語の筋となっているが、大島渚監督は「追い詰められた武闘集団」という意味で明らかに「連合赤軍」をモデルとしている。
 異色なところでは、水木しげるの『近藤勇 夢をつかみそこねた男』という漫画もある。農民のままであっったら、という水木の視点も面白い。

 しかし、「官軍と賊軍」はどこで分かれるのか、政権が変われば明日は賊軍になる世で、「誠」を貫いた土方が戦い抜いた結果、どれだけの命が奪われたのだろう。また、そういう時代というのは何だったのか。
 それも興味深かった。
 映画の感想に多い、ヤクザの抗争にも似ているという指摘のとおり、暴力集団としての新選組の実態も描いた映画だった。
 
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