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燃えよ剣のRAMPOのレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
3.8
先に観た「レジェバタ」の勢いを借り、信長に並んで大好きなキャラである新撰組副長 土方歳三の生涯を描いた本作を手に取った。

土方歳三演じるのは岡田准一さん。木村拓哉さんと同じジャニーズでも俳優としての評価、人気が高い方だし、現在はなんとNHK大河ドラマで信長を演じてらっしゃる。
本作にはしっかりとした原作もあり、既に過去に映像化されたリメイク作でもある。レジェバタの余韻もあってかなり期待して観た。

まず物語の体裁として、スタート時点で既に戊辰戦争末期の函館五稜郭で、土方歳三が旧幕府友好国の将校のインタビューに答える形で自身の生立ち、経験、思いを語りそれが映像として再現されるというもの。

この形式とした事で、土方歳三として、壬生浪士組隊士として、新撰組副長として、またその後の戊辰戦争を戦い抜いた侍として、その数多くのエピソードから取捨選択されたシーンの繋ぎ目を違和感のないものにしている。

また、土方歳三のみならず、やはり本作を観る者の大半が期待するだろう新撰組等やその周辺の登場人物の活躍(キャスティングもそれぞれ嵌っていて素晴らしい)、また主要なエピソードもある程度押さえるべき所は描かれている。
何より戦闘・戦争場面も、少ないながらも相当の迫力をもって描かれていて、この辺りの物語構成は比較しちゃいけないのかもしれないけど「レジェバタ」には是非とも見習って欲しかった。

とはいえ。
それでもなお、やはりこの幕末時代・明治維新期には戦国時代と同様、魅力溢れる沢山の人物がいて、それらの人物の掘下げや相互の関わり、またエピソードを描き切るには時間が足りず、ザッピング感が生じるのは仕方なくも残念に感じるところ。
やっぱり、人一人の人生を描き切るなら媒体としては大河ドラマレベルの連続ドラマが良いのかもしれないと思い直した。

まぁ本作のトーンとしては、土方歳三の恋愛模様なども描かれ、一定のドラマとして成立してるものの、いわゆる外連味といった点は然程なく、至極真面目な(硬派な)、記録を残すための口述を映像で再現したかのような、物語としてのエンタメ感は薄く、楽しい・面白いという感想は述べ難い。
土方歳三が何故最後まで戦い抜くことに拘ったのかといった辺りも残念ながら余り感じとれなかった。
一ファンとして、その最期に寂しさと多少の余韻を感じたのみ。
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