かーくんとしょー

二ノ国のかーくんとしょーのネタバレレビュー・内容・結末

二ノ国(2019年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

ゲーム原作だからといって、弁解の余地はない。これは劇場作品なのだから。
そんなワードから始めざるを得ない怪作。よくこんな作品によくゴーサインを出せたものだ。車で轢かれるのは自分たちかもしれないよ。

始まって数分で劇場内が諦めムードお通夜モードに突入する中、せめて久石譲氏の楽曲だけでも……と気持ちを奮い立たせたが……。
結果として、作曲に全く気持ちがノッていないのが伝わるだけだった。久石氏自身の衰えとは到底思えない、何か。

作品内容に関しては、ツッコミどころが多すぎて絞らざるを得ないのだが、特に問題だったのは以下の3点。

1点目、台詞回しの説明調と不自然さが過酷。感情移入どころか、起こり得る場面として受け入れることすらできない。モノローグは寒気がするほど。
ちなみに、永野芽郁さんの演技の酷さは今後彼女を見る目が変わるレベルの事実だが、本作のみに関して言えばキャストを変えたところで大した改善はないだろう。

2点目、異世界冒険譚の物語定型である〈帰還〉を排除するという大胆な掟破りをしておきながら、それが何も齎さないこと。
定型を壊されて観衆が落ち着かない気持ちを抱いているのに、物語は静かにハッピーエンドに向かっていく。もう一山作るのはここだろ!と叫びたくなった。そこまでに大した山もないのだが。誠に興醒め。

3点目、足の障がいに対する扱いの雑さ。
「障がい=誤、健常=正」という価値観はそもそも時代に合わないが、何よりも障がいという設定そのものが全く作品に生きていない。響いていない。
この手のデリケートな話題に切り込むのであれば、相応の試みをしなければ意味がない。なくてもいいような設定なら、なくていいじゃないか。完全なマイナスポイント。

挙げ始めたらキリがなく、その価値も感じないのでこれにて終了。
「星を追う子ども」のパクり連発も閉口ものだったが、純粋な酷さはそれ以上だったかもしれない。
明日死ぬとしたら、最後に観た映画が本作だなんて自分を許せない。

わくわく感の皆無さ、めちゃくちゃでわちゃわちゃのストーリー、陳腐すぎる絵やデザイン、1つも印象に残らない音楽、腑に落ちないエンディング、劇場内の空気、全てが私にとって新しい体験だった。
チケット代は、その新体験の勉強代だったと思うしかないのか……。

written by K.
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