いかえもん

スピリットのいかえもんのレビュー・感想・評価

スピリット(2002年製作の映画)
3.8
普段アニメはほとんど見ないのですが、ブライアン・アダムスが音楽担当ということで、中古ですがDVDを購入して鑑賞。

ブライアンの歌を抜きにしても思った以上に良かったです。
西部開拓時代の大自然を生きる馬と騎兵隊やネイティブアメリカンの青年との関係を通して不屈の魂(スピリット)を描いた作品。

まず何が驚きかって、ディズニーみたいに馬がしゃべることがない!
現実ではあたり前なはずなのに、映画ではすごく斬新な感じがしました。逆に今のディズニーに慣れた子供たちにはどうしてしゃべらないの?と言われそうです。
馬のいななきと表情だけでその時何を感じ、何を言わんとしてるのか、頭の中でセリフが勝手に浮かんできます。
馬が馬として演技する、これはアニメでしかできないと思います。
ところどころマット・ディモンによる心の中の声がナレーションで流れたり、ブライアンがその時の馬自身の気持ちをミュージカルのように歌う感じです。

この主人公の馬が生まれるところからお話は始まるんですが、その時流れるHere I amは本当によかった。字幕で歌詞も表示されるんですが、歌詞の内容がぴったりで、しょっぱなから胸にグッときました。

それと、この主人公の馬が途中で恋をするんですよ。
私、昔にアバターを見たときに青い宇宙人の恋愛を見ても全然盛り上がらんなぁ~、恋愛はやっぱ人間同士でないと感情移入できないからなんだろうなぁと思ってたんですけど、この馬の恋愛はその概念を打ち破ってくれた気がします。気が付くとこの2頭の馬を応援する自分がいたし、最後もよかったなぁと素直に思えました。

人間と馬との関係、騎兵隊とネイティブアメリカンの関係を描く中で、力で相手を征服することの傲慢さ、相手を理解しようとすることの大切さ、決して諦めない心を持つことといった大切なことが伝わるなかなか良作だと思います。意外と大人向けなアニメじゃないでしょうか。