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窮鼠はチーズの夢を見るのSNGのネタバレレビュー・内容・結末

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

漫画原作の実写ということで、漫画原作のエモを求めてしまうことにより、単純に「映画」として楽しめないところはあると思う。
原作の「窮鼠」「俎上」の読者だったため、実写化を見た時に感じたのは「恭一クズでは????」っていう一点で、後半の構成に強い不満を持ってしまった。
天然の人たらしであり、かつ、流されザムライ受け身王である恭一が、男も女も弄んで彼らが不幸になってしまった話……。
恭一は確かにクズなんだけど、順番を間違えてほしくなかった。
恭一はたまきと付き合う前に、たまきの前で今ヶ瀬を本当に愛していたことに気がついて涙するし(たまきは恭一が別れた相手を引きずってるって知った上で付き合う)、別々の人生を歩もうとしていた恭一と今ヶ瀬が再び出逢ってしまったあとは、未来になんの確信も持てないけど最後にもう一度だけ今ヶ瀬と歩いて行きたいと決めて、婚約までいったたまきとケジメつけて別れる。恭一とは、そういう変化を遂げた男なのに、この映画ではたまきと懇ろになってから今ヶ瀬の影を探して泣いてるし、環と婚約してるのにズルズルと今ヶ瀬との関係を再開させてるし、もう誰からも愛されずにひとりで生き続けて欲しいと思っちゃう男に成り下がってしまった感じがしてとても残念に思ってしまった。
今ヶ瀬二度とこの男の元に戻ってこないで欲しい。灰皿洗って待ってる場合か。今ヶ瀬泣いとるんだが????
ドロドロとした恋愛の葛藤の中で、何も得られないかもしれないけど、それでも離れられなくて、恋愛とは業なんだって強烈に伝えてくる原作のあの感じを求めてしまうとダメなんだと思います。ドロドロで終わってしまった……。何がしたかったんだよ恭一……。
でも、それぞれのキャラクターを演じる役者さんたちは素晴らしかった。
今ヶ瀬は本当に名演でした。恭一から受けるふとした優しさに対する反応とか、あの掴めない感じとか、ちょっと病んだ変態はいってるところとか。
恭一もふとしたところに気がついて先回りした優しさで包んでしまうところとか、そういうとこなんだよなーって思いながら見てしまった!
だからこそ、もうちょっと……、ただドロドロとしただけじゃなくて、もうちょっと踏み込んでほしかったなぁと残念になってしまった気がします。
原作を読みます。
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