エイデン

フォードvsフェラーリのエイデンのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
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1959年、“ル・マン”24時間耐久レースで初の優勝を飾ったアメリカ人レーシングドライバー キャロル・シェルビーは、ほどなくして心臓病でキャリアを終えることとなってしまう
引退したシェルビーは自動車メーカー“シェルビー・アメリカン”を設立し成功していたが、レースに出られないことを内心悔やみ続けていた
あるレースでシェルビーは、お抱えのレーサーであるケン・マイルズと出会う
ケンは妻のモリーや息子ピーターに支えられ自動車整備工場を経営するイギリス人で、レーサーとしては高い腕を誇っていたものの、偏屈な性格で扱いづらいと噂されていた
ケンはレースに参加するつもりだったものの、トランクのサイズが規定違反だと言う運営と大喧嘩
シェルビーの口利きで参加できることになったものの、彼の挑発に頭に来たケンはスパナを投げ付ける
しかしケンはその後のレースで見事なドライビングテクニックを見せて見事に優勝を飾り、感心したシェルビーは投げ付けられたスパナを拾い上げオフィスにそれを飾るのだった
ピーターと共に喜びを分かち合ったケンだったが、家に帰ってみるとモリーから国税省に整備工場を差し押さえられたと耳にする
覚悟を決めたケンは、今後はレースではなく地道に働くことを決めるのだった
その頃、アメリカの大手自動車メーカー“フォード・モーター”に勤める副社長リー・アイアコックは、社長ヘンリー・フォード2世から会社をもっと良くするためのアイディアを募集するという話を聞き、重役達にプレゼンを行う
リーはこれから車を買うことになる戦後世代を狙うため、ル・マンの優勝常連であるイタリアの“フェラーリ”に学ぶべきと訴える
皆が憧れるようなデザイン性と機能を持つフェラーリを買収し、本格的に参戦していなかったレースに力を入れることを提案したのだ
フェラーリが倒産寸前の経済状況ということもあり、承認をもらったリーはイタリアへと飛び、フェラーリ創業者のエンツォ・フェラーリと面会する
しかしフェラーリは、フォード社の意向によってはレースに参戦できないと知り態度を一変
リーは散々に罵られ買収は失敗したばかりか、直後に“フィアット”がフェラーリを買収したと知り、当初から買収額引き上げのために利用されていたと知る
コケにされたことにフォード2世は激昂し、最高の技術者とドライバーを集め、ル・マンでフェラーリを叩き潰すよう命令
後日 リーはシェルビーの元を訪れ、フェラーリに勝利できる車を作るように依頼する
金で勝利は買えないと語るシェルビーは、かつての自分と同等の腕前を持つドライバーとしてケンを指名
はたして2人は史上最速の称号をほしいままにするフェラーリに勝利することができるのか



1960年代に鎬を削った二大自動車メーカー、フォードとフェラーリの史実を下敷きにしたヒューマンドラマ

VSとは銘打ってるけど、一貫してフォードの視点で描かれる作品
そのため、フェラーリ側はやや悪役じみた描かれ方がされてるけど、そのせいかフェラーリの本場イタリアはじめヨーロッパ各国ではタイトルもレース名の『Le Mans 66』になってる

とてつもなく高い壁に挑戦する男達の熱いドラマがメチャメチャ魅力的
レースというとドライバーばかりが花形のように捉えてたけど、レーシングカー製作から試行錯誤していくチーム戦として描かれてるのも個人的には新鮮味があった
決意と情熱、奮起と意地、育まれる友情
全員がぶちかましてやる精神で臨んでるのでかなりアツい

そしてもちろん、スリル満点のレースシーンも最高
手に汗握る緊張感と、鳥肌が立つほどのカッコよさ
極限の中で前述の通りのチーム戦を感じさせる展開も多く、全てをぶつける最終決戦感強くて好き

元々は長らく温められていた企画で、当初はトム・クルーズとブラッド・ピットが主演候補だったらしいけど、クリスチャン・ベイルとマット・デイモンで映像化したのは最適解過ぎる
2人のアツいドラマと、アツい展開、アツいラストシーンまで、とことん興奮できる良作
オススメ
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