シネマスナイパーF

フォードvsフェラーリのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
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つい身を乗り出してしまうこの熱量
俺たちには、俺たちにだけ分かるあの瞬間がある
そのために俺たちは生きているんだと
舞い込んだまたとないチャンス、エゲツない価値ある挑戦だがしかし乗るにはあまりに同乗員とそりが合わない…


キャロルとケンはフォードのために走ったりしない
一度離れた戦場に再び立つため、そして己の尊厳のために、フォードの手を取った
なんなら彼らはフォードとも戦っていた
夢と情熱が大企業に乗っかるという大人の男のロマンとして最高のドラマ

レースにストイックすぎるゆえに皮肉屋だった純度100%のスピード狂が成長を見せたが、悲しくもそれは自分のためにはならなかった
レースという夢を諦めなかった男は、皮肉にも手にした成功で取り返しのつかない喪失を招いた
それでも彼らの情熱は歴史を作ったし、今こうして伝えられるべきドラマだった

フォード対フェラーリというタイトルがいい
世間の事実はフォードがフェラーリに勝利したということであり、やはりフォードはフェラーリに勝つことこそが目的であったことは明らか
でも、その勝利には真に豊かな情熱と彼らにしかわからない極限の世界そして喜びがあったことを忘れるなと
フェラーリが真に敬意を示したのは誰だったのか…レースに人生をかける人間同士に生まれるその感情は尊い


大人の夢は熱いね
ペーパードライバーだけど車かっ飛ばしたくなったぜ