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ナショナル・シアター・ライヴ 2019 リア王のchaooonのレビュー・感想・評価

4.2
現在、シネ・リーブル池袋のNTLive夏祭り2021が開催中🌺✨
今作『リア王』もアンコール上映が今週8/9(月)と8/11(水)にあります✨


ということで、2020年劇場鑑賞作品の忘れ物レビュー…✍️

シネ・リーブル池袋のNTLive冬祭り2020から1本目❄️✨✨
(夏祭り2020レビューが終わってないんですが、一旦冬祭りへ❄️😂)

シェイクスピア四大悲劇の一つ🎭
4作の中だとこれが一番人間の心理を深くついてる気がして好きです。
(他の3作は復讐と狂気、謀略の話だから、共感しづらいのよねー🙄)
単純に他の作品に比べて初見でもわかりやすい作りでシンプルだから、入り込みやすいかも。

家族の話であり、人が犯してしまいがちな過ちの話。
それが悲劇へと大きく傾いてしまう切なくて痛々しい。
この欺瞞に満ちた世界で、真に自分に誠意と愛を尽くしてくれる存在を見極めることは難しい。
そしてそれに気づいた時にはもう遅過ぎて取り返しがつかないところまで来てしまった自分に絶望する。
こんな悲しい物語あるー😭!?
大袈裟な部分はあれど、普遍的な物語だと思う。

昔友人がアマチュア劇団でリア王を演じたのを観に行ったので、大体のあらすじや結末は頭に入っていたつもりだったけど、結構細部を忘れていたので、改めてこの悲しき物語に心を痛めることができた🥺
それにイギリスの一流の俳優たちやカンパニーが作り上げる渾身の舞台はやはり迫力が全然違う✨

イアン・マッケランが挑む、おそらく最後のシェイクスピア舞台と言われた集大成的舞台✨
普通だったら彼の知名度的に大劇場でやるところを、演出と舞台の近さを優先して、敢えて小劇場であるデューク•オブ・ヨークス劇場を好んで選んだとか。
なんというこだわり!!

サーの称号を持つイアン・マッケランが演じるリア王は、さすが気品と威厳さに溢れ、かつての気性の荒さと傲慢さが顔を出す。
ただ老いとともに耄碌していく頭と心が見せる頼りない姿。
そして実の娘たちに心を砕かれ狂気を孕んでいく虚な姿。
全てに説得力があり、見応えがたっぷりであった✨

当時79歳で80歳と言う設定のリア王に近い年齢であったが、舞台上で降り注ぐ雨(リアルな水の演出)でずぶ濡れの姿まで見せる体当たり!
あれを毎日繰り返しやっていたなんて、お身体は大丈夫なんでしょうか😂

素晴らしいマッケランに見劣りせず、心を駆られたのはグロスター卿を演じたダニー・ウェッブ✨
リア王は少々自業自得的な部分があるけど、グロスター卿はもうホント気の毒というか、彼の物語の方が泣けた😭

それと本来男性として描かれるケント伯爵を女性が演じていたのは、エッジが効いていた。
NTLだとよくシェイクスピア作品の役を女性に置き換えるのはよくあるけど、真心の象徴でのあるケントを女性が演じることで、そのあたりが際立っているように感じた。

あとは末娘コーディリア役を『NTLシラノ・ド・ベルジュラック』でロクサーヌを演じてたアニタ=ジョイ・ウワジェ❣️
ロクサーヌ役も好きだったけど、今回の実直で不器用な末娘役がとても凛とした感じでよかった✨

一応時代設定が現代に置かれていて、国や軍のスタイルなんかも多分演出が変わっていたようなのだけど、ぱっと見でわかるのは服装ぐらいかな…。
パンフを読むと、旧体制と新時代の対比とか、道化の立ち位置とか、何やら意味あるみたいだけど、その辺はあんまり読み解けず😂
その辺もちゃんと理解できたら、もっと深みが増すのかもしれない…🤔
それはまたの機会に…。
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