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アリソンのなのネタバレレビュー・内容・結末

アリソン(2016年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

『SNS-少女たちの10日間-』をきっかけに他にも同じようなドキュメンタリーを見てみたいと言ったら、人に勧められた映画。
一人の女性がレイプされ、そして殺害され(幸運にも生き残ることができたがほぼ殺されたと言っても等しい傷だった)、その後どのようにトラウマと付き合い、生きてきたのか、というドキュメンタリー。映像の撮り方がファンタジー調で少し違和感を感じるところもあったが、これは現実に希望を与えようとする製作陣側の意図があったのだろうか。それとも、ファンタジーのように見えるけれどもこれは現実であると伝える意図だったのだろうか。

冒頭の再現シーンは想像していたよりもリアルで、残虐で、救いようがなく、この状況を生き残ることができたアリソンは本当に勇敢な強い女性なのだと思った。
過酷な手術、その最中に行われた調査の協力、そしてまだ傷が身体的にも精神的にも十分に癒えていない状態での裁判、その後の鬱との戦い。

アリソンは受けた傷があまりにも過酷だったので、他の事件の参考にして良いのか迷うところはあるけれども(実際、どんな事件であっても人間がそれぞれ違う存在である限り同一の被害者はいないのだから、参考にするという行為自体誤りかもしれないが)、レイプ被害者が体験する全てが描かれていたと思った。
医師や検察官などのインタビューが多く、アリソン自体は自身のメンタルに関して述べるシーンは少なかったけれども、多分この映像に描かれない箇所で多く苦しんだのだろう、と思う。

この映像を見て伊藤詩織さんの事件で、彼女が海外のメディアからのインタビューを受けた時に
「警察で何度もレイプされたシーンを再現されるように要請された」
と答えていたことを思い出す。アリソンも複数の警察官に自分の下腹部を曝け出さなければならないと証言していて、アリソンが1994年で伊藤さんが2015年とやく20年も時間が立っているのに、同じようなことを今でもやっているのだ、と悲しくなった。調査は被害者を救うために行われているのではないのだろうか。だとしたらどうして被害者のメンタルを考慮しない調査方法が横行しているのだろう。
アリソンがもし生きていなかったら調査はもっとシンプルだったろう、というコメントがずっと頭の中に残っている。
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