おいなり

DUNE/デューン 砂の惑星のおいなりのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
3.6
原作未見で、リンチの方の映画も観たことないけど、ティモシー・シャラメを劇場で観たくて映画館に行くという、アイドルマニアの女の子のような動機で観に行ってしまいました。すみません。今はほぼ未履修の007をアナ・デ・アルマスのために観るか迷っています。


わりとゴツめのボリュームの原作を二作に分けて映像化するということは知ってるんですが、それにしたって序盤からまったりじっくり世界観を描いてくれるので、この溢れ出る大作感からは想像もつかないほど意外と地味め。
ちょっと前にみたモンハン実写版の時に、あまりにも物語の導入部がだらだらと長くて、これ一体モンスター倒したらエンドロール流れるんじゃ……と心配になったけど、本作はマジでほぼ導入部分で終わってしまうので、その思い切りの良さに笑った。
ほぼヒットが確約されてて、二本目も作られることを織り込み済みの上での構成なんだろうけど、それにしたって2時間半かけてこれで終わりというのはすごい。
でもこれだけ丁寧に丁寧に作ってもらえたら、原作ファンは嬉しいんじゃないかな。原作読んだことなくてもそのリスペクトは伝わってくる。

ティモシー・シャラメは美しかった……。顔の造形が良すぎて、美術品が動いてるようだった。生身でそのままファイナルファンタジーとかに出れそう。
んで、一応ヒロイン枠としてお馴染みゼンデイヤが出てくるんだけど、彼女はティモシー・シャラメの夢にチラチラ出てくるだけで出番少なめ。代わりにレベッカ・ファーガソン演じるティモシーの母親がずっと旅の同行者としてついてくるので、実質的なヒロインが主人公のオカンというね。
お母さんったってレベッカはまだピチピチの30代だし、ティモシーの実年齢とは12歳しか離れてないし、すごく背徳的な何かを画面から感じてしまう。わざわざお互い恥じらいながら着替えるシーンとかあったり、一瞬「えっ、どういう意図??」って思考がフリーズした。

個人的に、デューン独自の宇宙観というか、たとえば宇宙船のディティールなんかはいい意味で地に足がついていて悪くなかった。昇降デッキを支えるピストン型のステーがきちんと動作してる様子とか、トンボヘリコプターとか、実用性はともかく「こういう原理で動いてる」というのが物理的になんとなくわかるデザインがよかった。宇宙もののわりにはそこまで近未来感を推してないとこが(未知との遭遇みたいな宇宙船も出てきますが)。

あとはハンス・ジマーの劇伴が素晴らしかった。ハンス・ジマーの劇伴は、劇場で大音量で聴くと体の芯に響いてくるようですごくいいですね。
特に本作はBGMだけでなくSEも作り込まれていて、物語的にもとても重要になってるので。そのBGMとSEのシームレスさ、今この場面で本当にこのBGMが流れてそうだなという感じがしてよかった。ハンスの劇伴の良さはやはり、その物語を補強し、補完するような、映画との一体感の強さだと思います。



前述の通り、いろんな部分を全部事細かに描いていて、感想をきかれると「めっちゃ贅沢な序章」という他ない。だいたいゲームの体験版で遊べるくらいの範囲+αって印象。古いゲーマーの方なら、シェンムー第一章みたいな感じといえば伝わるでしょうか。
あくまで壮大な大河ドラマの一部なので、たとえばスターウォーズのような派手な宇宙ドンパチを期待して観るとけっこう肩透かし感はある。そういう意味で、これの続編を観るまでは評価が定めにくい一本かな。そこまで熱心なファンじゃないなら、続編出るまで観る必要はないかも。本当にここから面白くなりそう!ってとこで終わるので。
でも劇場の大画面で観るティモシー・シャラメは純粋に美的に優れていて感動するので、オススメです。
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