ケンタロー

DUNE/デューン 砂の惑星のケンタローのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.0
パート2でドゥニ・ヴィルヌーブ監督の真価が問われるのだろう…。ストーリーに追われることなく、作家性も表現していくことがはたして出来るのか?

IMAXフォーマットを最大限に活かした映像と音は没入感が凄まじく素晴らしかった! どのシーンを切り取ってもバチっとキマる構図。壮大な世界観とSF設定の講釈を削ぎ落とし、とにかく絵面で魅せるという映像表現に全フリした潔さ。

無駄を廃したその潔さは荒涼とした砂の惑星そのもののようだったし、アトレイデス家の立ち振る舞いや随所に見られる様式美にも感じられた。

ハンス・ジマーの地鳴りのように重低音響く劇伴も力入ってんなー!とさすがの腕前に唸らされる(ただ、欲を言えば、もしヨハン・ヨハンソンだったら、どんな音楽でDUNEを表現したのだろうかという興味も尽きない…)

フランク・ハーバートの原作小説はSF大河とも言われるように、神話や軍記物における英雄譚を土台にしているので、平家物語や源義経など判官贔屓な心情になりやすい日本人には特にウケが良いように感じる。加えて『汝、選ばれし勇者…』というようなドラクエ的なわかりやすさも今時には一周回ってシンプルで良いのかもしれない笑

ただ、フランク・ハーバートがモチーフにしたという「アラビアのロレンス」のエッセンスについて、ドゥニ・ヴィルヌーブがPART2でどのように描くのかが気になるところ。

イスラム世界を想起させるフレメンと欧米世界の象徴とも言えるポール・アトレイデスの関係は「アラビアのロレンス」の時代や、一昔前の中東諸国と欧米諸国との関係も現代においては大きく異なるし、はたしてポールはフレメンにとって真の解放者なのか?救世主と言えるのか??

今「DUNE」をリメイクするならば、この部分の描き方にこそ原作やリンチ版を超えるものがあるように思うし、単に最新技術でアップデートしただけのもので終わらせてほしくはない。大好きなドゥニ・ヴィルヌーブ監督だからこそ、ハードルは高くなってしまう…笑

至高のアート作品としてのPART1とドゥニ・ヴィルヌーブの作家性が明確に打ち出されるPART2という構成を期待したいし、それでこそドゥニ・ヴィルヌーブのジャイアント・キリングは成るものだと思っている。

しかしだ…。

「DUNE」とは実に因縁めいた作品なわけで、ホドロフスキーを筆頭にリドリー・スコット、デヴィッド・リンチら名だたる監督や多くのクリエイターを魅了し、ある意味、狂わせたと言ってもいい曰く憑きの作品だ。ご多分に漏れずドゥニ・ヴィルヌーブだってその洗礼を受けるかもしれんのだ…(^_^;)

いずれにせよ、早く続きが観たいもんです♪