ちろる

DUNE/デューン 砂の惑星のちろるのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.4
『スター・ウォーズ』をはじめ、数多くのSF作品の原点ともいえるフランク・ハーバートの小説を、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化した超大作。
ついに、ついに!!
思えば「ホドロフスキーのDUNE」で映画制作が頓挫した悔しいお話をホドロフスキーが語った時のあの少年のようなキラキラした瞳が忘れられない。
デヴィッド・リンチが失敗作を作ってから、次、誰が手を出すんだ?と映画人の誰もが横目で睨み合ってただろうこの作品、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ならば誰も文句は言えるはずもない。
この作品の素晴らしさは没入感のある映像体験の数々。接写のシーンがかなり多く、キャスト陣の顔や丁寧に作られた全ての美術に「この世界は存在する」と思わせるような説得力を映像で作り出している。
      
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、グリーンスクリーンを背後に撮影したのは2シーンのみで、砂漠シーンはほぼ全て実際に現場で撮影されたと言う。
お陰でリアリティのある最強クラスの美しい世界観、この贅沢な映像美には没入せずにはいられない。

作品はとにかく155分かけたディテールが細かく、今回は第1作目として作られ、物語が始まる序盤で終わるのだが、これをもし一作で治らせようとしたらリンチみたいに失敗するだろう。
だから、次回予算もまだ決まらないウチにこちらを無理せず一話目で次回作ありきにして作った監督の勇気が素晴らしい。

古典SFを彷彿とさせるような静謐な雰囲気のヨーロッパ的な美術、アクションシーンでさえもうっとりとしてしまうのである。

ちなみに、DUNEを見るうえで語らずにいられないのがナウシカとの世界観の近さ。
ナウシカは、このDUNEの原作を参考にした事は、言うまでもなく、美しい映像美でこのナウシカが模倣した世界が鑑賞できるのは興奮する。
退廃した宇宙の静謐な世界はナウシカ、そして壮大な宇宙戦争はスターウォーズにも繋がり、DUNEの原作がなければ、『スターウォーズ』も『ナウシカ』も生まれなかったかもしれないと思うとゾッとする。

そんな全ての名作に大きな影響を与えた『DUNE 砂の惑星』このたび続編も決まったようなので、是非安心してこの一作目たくさんの人に触れてほしいです。
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