頑張ることは素晴らしい。
そう教えられてきた僕は、例え思うような成果に結びつかなかったとしても、懸命に頑張ることはそのように素晴らしいことだと思っている。往々にして。
さて、本作は開始早々に学びを与えてくれる。
「ハマらない吹き替えは確実に作品をダメにするよ」
そういうことだ。
どんなに優れた作品も、吹き替えがクソであれば吹き替え作品そのものの価値もクソにする。
それは吹き替え映画の歴史において、もう散々に語り尽くされてきた問題だ。しかしその言葉の通り、「散々に語り尽くされてきた」ものの、今もなお「クソ吹き替え」は存在する。
言葉が汚くなった。
反省する。
ところで、ストーリーはどうか。
散見される「ラストの酷評」も残念だが、そこに至るまでのシナリオもたくさんの学びを与えてくれる。
しつこいくらいに「ヘンリーと呼ぶな。これでも王様の次に偉いんだぞ」のやり取りが描かれているが、そのやり取りは何のために執拗に繰り返されたのだろうか。青年になっても同じやり取り?二人の関係性を描きたいのなら、もっと他になかったのだろうか。
ビアンカとの絆も、映画の中では十分に描かれているとは思えず、ドラクエ5をプレイしたことがある僕でも感情移入は困難だった訳だから、未プレイの方が視聴されたら恐ろしい事態になることは想像に難くない。
加えて、人間キャラクターの表情、仕草もどこか生理的に受け付けなかった。そもそも造形が好みでなかったことも大いに影響していることと思うが。
きっと皆が頑張って作った映画なのだろうと思う。
吹き替えを担当されたタレントさんも、必死に声を当てたのだろうと思う。フルCGでこれだけの尺の映画を作るのだから、制作スタッフも頑張ったことだろう。
しかし、この世の中が「頑張りさえすれば全て良し」ではまかり通らないことを、この映画は教えてくれる。
「頑張るかどうかは問題じゃねぇ!クソはどれだけ捏ねてもクソなんだよ!」
そんな厳しい世の中こそYOUR STORY、お前らが生きる人生なんだよ、と教えてくれる本作。
本当にありがとうございました。