エミさん

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーのエミさんのネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

30年前、寝食を忘れて体を壊してまで没頭したDQ。自身の青春と言ってもいいくらい特別なものでした。実写ではなく3DCGだったのがまだ救いでしたが、それでも、これだけ娯楽に溢れた昨今にあって、何故、今さら!?という疑問は否めません。製作発表を見た時から不安を感じていました。
キャラデザインは若干、鳥山氏のオリジナルとは違った印象だったので、ストーリーに入っていけるのか心配でしたし、吹き替えのイメージにもついていけるのか心配していました。そして何より、DQ5はマルチシナリオが用意されていることが1番、ファンを虜にした長所。その選択肢なくして一方的に決められたシナリオを見せられるだけという淋しさに耐えられるのか?「それを選んだのか」「あのシーンをこうしたのか」「どうしてあのシーンを取り上げてくれなかったのか」、怒り狂うんぢゃなかろうか?見るに耐えられるのだろうか?等々、考えるほどに観る前から思案は尽きませんでした。

いざ、鑑賞ー。
聴こえてきたのは、大好きな安田顕氏のナレーション。
冒頭は、あの懐かしいゲームの画面映像と文章を紡ぐブツブツ音。
あれ!?ここから始まるの?という違和感。
映像は、だいぶ荒いドット絵。これはファミコンに近い。
DQ5はスーパーファミコンなので、もう少し解像度が高かったような…???
ネタバレですが、これ(あえてドット絵)は、ラストに繋がる伏線の1つだったのかなぁ?とか、DQと言えばやっぱりこの印象でしょ!?みたいな、敢えてのサービスカットだったのか、色々考えたのですが、結局、疑問なままでした。
でも観ているうちに段々と、30年前のあの頃に記憶が帰っていくような懐かしい感覚がありました。

アテレコは…。意外にもみんなバッチリキャラに合っていましたね。みんな演技が上手ですから、ビックタイトルのプレッシャーに負けずに頑張ってイメージしてくれたのでしょうねぇぇ。
(*^_^*)
吉田鋼太郎氏、最高にイカしていてシビれました!!

キャラデザインは…。正直、申し訳ないけど、やっぱりタッチに違和感がありました。髪の毛のフサフサ具合や動きの滑らかさには3DCGの技術の素晴らしさを感じました。ここまで作るには随分と細かく大変な仕事だったろうなぁと感心してしまうくらい、綺麗で素晴らしかったです。

シナリオは…。山崎監督が主に担当したそうですが…。多分に、あの膨大で壮大なストーリーからイベントを選んでいかなければならないプレッシャーというのは大変な責任だったとは思います。DQファンにとっては、各人によって感情移入している部分があるので、非難を気にしていたら制作なんて出来ないでしょう。かくゆう私はキラーパンサーに感情移入していたので、これもネタバレですが、「そっちを選んだかぁ〜。」と、終始『ゲレゲレ』連呼に苦笑いと違和感を感じっぱなしでした。出来たらビアンカと頑張って押し問答をして欲しかったです。
( ̄▽ ̄;)

DQヘビーユーザーとしては、映画化の制作をした時点で既に許せないです。ラストにブッ込んできたシナリオも「何じゃそりゃ!?こんなこと、共感するとでも思ったのか!?」とビックリしてしまったし。
でも、シネフィルとしては、やっぱりこれだけ大勢の人達のエネルギーを費やしている作品を悪く思いたくはありません。映像技術は本当に素晴らしく、物語の割愛具合も出来る限りのワクワクを盛り込んでくれていることが伝わってきました。
30年ぶりの懐古に浸ることが出来たので、結果、観に行って良かったかなぁと思うことにしました。
エンタメ作品は多くの方に触れてもらい、後世に残っていくものです。映画という芸術表現は可能な限り良識のもと自由であって欲しいので、こういうアクションも大事なことだと思います。
大好きなDQをまた別の形で多様化してくれた関係者や、どうあれ観てくれた鑑賞者方々に私は感謝をしたいです。