しば

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーのしばのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

公開前から絵柄が鳥山明ではなくディズニーみたいで嫌だ!と悪い意味で話題になっていた今作。いざ観てみるとこの絵柄もそんなに悪くないしビアンカが可愛いし音楽も素晴らしいし戦闘シーンも大迫力で楽しめました。声優も芸能人ばかりでしたが全く違和感なく、特に佐藤健さんの声は主人公にぴったりでした。


最後の10分さえ無ければの話ですが。


終始駆け足気味ですが、主人公リュカはドラクエ5の世界を冒険します。ビアンカとフローラの究極の二択を選び、子供を授かり、仲間たちと協力して宿敵と戦います。
しかし、ラスボスを目の前にしてこの世界はすべてプログラムでできたハイクオリティなVRゲームであったことが明かされます。
愛したヒロインもテクスチャ剥がされただのデータだとネタバラシ。
主人公はVRで遊んでいた一般人。
今まで共にしてきたキャラクターは皆ただのバーチャル世界の虚構に過ぎなかったのです。

ゲームを嫌うハッカーがドラクエVRの世界にウイルスを仕込み、主人公に対して「大人になれ」と告げます。



は?



私たちが見たかったのはこんなものではありません。綺麗な映像にリメイクされたドラクエの世界を純粋に楽しみたくて来たのです。何も現実世界に戻されて説教されに映画館に来たわけではありません。例えるならば熱いクライマックスの場面で急に冷や水をぶっかけられた気分です。

最終的に主人公は「たとえゲームでも僕にとっては大事なものなんだ!」的なことを言ってそのウイルスを倒します。

恐らく制作側が伝えたかったのは「所詮虚構に過ぎないし無駄なことかもしれないけど、ゲームっていいもんだぜ!」というメッセージだと思います。
しかし、ドラクエが好きで観に来ている人はそんなことわざわざ言われなくてもとっくに分かってるんです。余計なお世話です。

一昔前まではたしかにゲームは冷ややかな目で見られてきました。
しかし、今やゲームは世界中のどの世代にも愛され、十分市民権を得たコンテンツになりました。

この映画はまさに、一昔前の団塊世代が考えるようなゲーム観です。
製作者は、数十年前の古臭い考えのままこの映画を作ってしまったせいで、結果的にゲーム好きに喧嘩を売るようなものになってしまいました。変に衝撃の展開なんてねじ込まなくて良いんです。
こういう展開をやりたいんだったらドラクエを使わず、架空のゲームって設定で勝手にやってくれ
って印象です。


このラストさえなければ、傑作とまでは言わずとも、無難に良い映画として終わったのですが…悪い意味で裏切られた作品です。

ついでに。
音楽は素晴らしかったんですけど、有名なメインテーマ「序曲」の使い方が下品だなと思いました。作中4回くらい流れててむしろ白けました。ああいう決めの音楽はここぞという時に一回だけ使うべきだと思います。
しば

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