ariy0shi

生理ちゃんのariy0shiのレビュー・感想・評価

生理ちゃん(2019年製作の映画)
3.3
文字通りの生理現象をいかに擬人化するのか?
いったいこの映画でどんなメッセージを届けたいのか?
作り手の真意を推しはかりたくなっていざ鑑賞。

ピンクのハートにギョロ目、厚ぼったい唇、十字架の鼻という出立ちの「生理ちゃん」は、女性のもとに不意に訪れ、腹に強烈なパンチを食らわせ、背中にのしかかる鬱陶しいやつ。しかし、いつもさりげなく寄り添い、優しく見守ってくれる味方でもある。ということだったと思う。

全人口の半分が味わう苦しみ、煩わしさ、そして不平等感。
たしかにそうした事実を突きつけられると、男としては立つ瀬がない。
さらに生理ちゃんの友達である「性欲くん」の登場で、ますます苦境に立たされることになる。まったく男ってやつは呑気な生き物だ、と思われても仕方がないわ面目ないわ。。。

女性の大変さを理解することは、男性にとっても大事なこと。たしかにそうである。
ただ、男性の苦しみについては、実は世にあまり知られていないと思う。

すべての男は消耗品である、というのは村上龍の有名な言葉だが、男が消耗品であるかはともかく、女に対して“添えもの”のような感覚を否定できないでいるのは自分だけか。出産に立ち会った時の、あの淡い敗北感にも似た感情、絶対に男の自分にはできない何かを見せつけられた衝撃は、それはそれで大きいものだったのだが。

実は男にできることよりも、女にできることの方が多いのではないか。男はせいぜい、謙虚でいるぐらいしかないな、と妙に納得してしまった映画だった。
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