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凍える追跡のesのネタバレレビュー・内容・結末

凍える追跡(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

雪が音を吸収して静かな中で、ワイパーの規則的なリズム、緊張した息遣い、犬の鳴き声などが聴覚にスリルを齎す。
山に囲まれた土地が表情を変えていく様を映した映像も美しい。

アメリカ映画であればまず拳銃が出てきそうな所で、バーナーやゴルフクラブなどを選択する辺りも好み。元特殊部隊のような特別な設定じゃないからこそ、地味だけれどスリルを感じられる。

ギョーム・カネ演じる主人公が知り得る情報しか観客達は知る事ができない。主人公と共に想像を巡らせながら進んでいく。
今作では誘拐犯達の目的がきちんと提示されない。
地質学者でスコットランド、ニジェール、セネガル、メキシコ、中東に渡航という事で、オイル関係の仕事に関わっている事は大体察しがつく。しかもかなりグレーな組織で働いている。
元妻のパートナーは息子を邪魔に思っている。
雇い主と連絡が取れない、身代金の要求がない、手練れとは思えないので仕事関係の妨害者ではなく恐らく元妻のパートナーが親の家を売った金の一部で犯人達を雇った可能性が高い。子供達が眠らされていた場所はロシェ・ブランにある。憶測ではあるが、元妻のパートナーが購入しようとしていたモン・ブランが見える土地というのはこの近くなのかもしれない。

仕事一筋で家族を顧みなかった男が、失いかけて初めて自分が仕事と引き換えに何を手放してしまったのか気付く話。
ラストでは諸々の暴走による刑罰なのか、若しくは仕事内容が法に触れたのか刑務所にいる。けれど家族と触れ合う姿はとても幸せな満ち足りたものに見える。
主人公の再生の物語であると思えば、描かれていない部分は各々の補完で補える些細な問題。
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