Jaya

家にはいたけれどのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

家にはいたけれど(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

一週間の失踪から帰ってきたフィリップとメンタルヤバめの母アストリッドの様子がハムレットが重ねられたりしながら映し出されるお話。うたた寝妹フローの鼻ピーピーがリアルかつ愛らしい。

画面の構成力がえげつなかったです。1カットで表現すべきものを過不足なく表現する力。とても繊細で美しいカメラワークと演出。音響もとても細やか。

自転車も理由と言えるのかどうか、情緒不安定なアストリッド。監督との長回しを始め、頭でっかちな会話。子どもたちの不穏なハムレット劇。シーンの意図は明確なのに意味は掴ませない。とにかく全カットの情感が凄い。

ただ会話や子どもの演出に、いくらなんでもあざと過ぎると感じたところもあったり。敢えて示唆をそのまま受け取るのなら、やはり最後のおんぶとロバに全ての意思が込められているのかなあ。

地に足の付いた美しさを見せつけられた印象で、通底する思想に裏付けられた意図を感じることができ、映画の可能性の一つを見たような名作でした。
Jaya

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