【第69回ベルリン映画祭 コンペティション部門出品】
『錯乱』がヴェネツィア映画祭で受賞するなど高い評価を得たトルコのエミン・アルペル監督作。
街へ奉公に出されていたが訳があってそれぞれ戻ってきた三人姉妹と父の物語。
全体に『若草物語』みたいだなと思った。最後次女が原因不明に体調を崩してみんなで看病するとかそのまま。
演出もそんな感じでそこまで深刻にならない、のにいきなり激しい口論や殺人、自殺といったハードな展開をしてくるので一貫性がない。
どういう態度で観客が観ればいいのか戸惑ってしまう。
やたらと登場人物が多く状況が呑み込めない。言葉で説明される演出も垢抜けないが、それでも説明不足な点が多々。
ヴェイセルのバカさ加減には苛つかせられる。彼なりの行動とはいえ、目上の者への暴言に赤ちゃんを故意ではないにしろ殺したとなれば同情の余地なしでしょ。
三人姉妹の物語というよりはヴェイセルの物語と言ったほうが正しい。
トルコの田舎における問題を描きたかったのかもしれないが、全てヴェイセルの自業自得でしかないので…
コメディにしては深刻な描写が多いし、社会派ドラマにはなり得ていない。非常に中途半端な作品としか思えなかったな。