デルタ

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのデルタのレビュー・感想・評価

4.5
日本公開が決まったということで、記録。
日本では一度、2021年ドイツ映画祭などで、限定公開された作品です。

主人公ベニー(ヘレナ・ゼンゲル)は母親と離れ、児童養護施設で暮らす9歳の少女。周囲に対して攻撃的、暴力的、かつ行動も予測不能。
医師や養護関係の職員は、ベニーを何とか安定させ、保護しようと多くの努力をしてきましたが、うまくいったものはありません。
母親ですら、娘のベニーを怖れる始末。
そんな中、反攻撃訓練トレーナーのミヒャ(アルブレヒト・シュッフ)が、ベニーと正面から向き合おうと奮闘します。

ヘレナちゃんの演技は、撮影時12歳とは思えないほど素晴らしく、愛情を乞うあまりの狂気と、束の間の愛情に安堵するコントラストが絶妙です。
アルブレヒトは、主人公ベニーをどうにか救いたい気持ちと、トレーナーとして寄り添いすぎてしまう葛藤を、悲哀の表情で演じています。
アルブレヒトの出演作の中でも、特にイチオシの作品。多くの人に観ていただきたい。

こちら、2019年2月、第69回ベルリン国際映画祭 コンペティション部門にて初公開。
2020年🏆ドイツ映画賞にて、最優秀長編映画金賞を含む8部門を受賞。
主演のHelena Zengel(ヘレナ・ゼンゲル)は、歴代最年少での最優秀主演女優賞、Albrecht Schuch(アルブレヒト・シュッフ)はこの年、最優秀主演男優賞、『Berlin Alexanderplatz(ベルリン アレクサンダープラッツ)』での最優秀助演男優賞とのW受賞を果たしています。
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