MasaichiYaguchi

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.1
2019年・第69回ベルリン国際映画祭アルフレッド・バウアー賞(銀熊賞)など世界各地で数々の賞に輝いたドイツ映画では、社会に居場所をなくしてしまった9歳の少女の姿を繊細かつ強烈に描き出していて、心にズシンと残る。
父親から受けたトラウマを抱える9歳の少女ベニーは手のつけようがないほど攻撃的で、里親やグループホーム、特別支援学級など行く先々で問題を起こしている。
ベニー本人は母親のもとへ帰ることを望んでいたが、母親はベニーに愛情を持ちながらも接し方が分からずに施設に押しつけ続けている。
そんな中、非暴力トレーナーのミヒャは3週間の隔離療法を提案し、ベニーと2人きりで森の山小屋で過ごすことにする。
初めのうちは文句を言い続けていたベニーだったが、徐々にミヒャに対して心を開き始めていく。
ノラ・フィングシャイトのこの長編デビュー作では、「この茫漠たる荒野で」でハリウッドデビューを果たしたヘレナ・ゼンゲルが主人公ベニーを熱演し、「西部戦線異状なし」のアルブレヒト・シュッフがトレーナーのミヒャを演じている。
邦題に使われた“システム・クラッシャー”とは、行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子供たちを意味している。
「ただ、ママのもとに帰りたい」という願いを持つ、社会に居場所がない9歳少女は、いったい何処に辿り着くのだろうか?