サマータイムブルース

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

4.5
凄まじい映画でした

「システム・クラッシャー」とは、ケアホームからケアホームへ、里親から里親へ、あまりにも乱暴で行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子供のことです

9歳の少女ベニー(ヘレナ・ツェンゲルちゃん)は幼少期の父親の暴力がトラウマとなり、スイッチが入ると烈火の如く怒り出し、絶叫し、暴れん坊になります
母親には手の施しようもなく、里親、グループホーム、特別支援学校など、たらい回しにされ、なかなか滞在先が見つかりません

ベニーが絶叫し、暴れるたびに観ているこちら側も心がえぐられ、耳を塞ぎたくなります

そんな中、アンガーマネージメントのトレーナー、ミヒャ(アルブレヒト・シュッフさん)が彼女の通学をサポートするようになります
ミヒャは、ベニーに優しく、時には厳しく、辛抱強く接します

閉鎖病棟へ入れてしまうか、精神病院に入院させるか、スタッフが会議していると、ミヒャが電気もガスも水道も通らない山の中のロッジで、2人で3日間過ごす更生プログラムを提案し、承認され、実行します
ベニーもそんな彼に次第に心を開いて行くようになるのですが・・・

これ、誰が良いとか悪いとか一概に言えないけど、やっぱ母親が一番悪いと思う
子供を確かに愛してはいるんだけど、男と別れなかったり、ベニーを怖がったり、引き取りを拒否したり、ベニー以外の子供たちの接し方も希薄だったりします
ベニーはお母さんが大好きで、ただただ一緒にいたいだけなのに

ミヒャがベニーに、山の中で、大声で叫ぶとこだまして返って来るから何か叫んでごらん、と言うと、「ママー!!ママー!!」と絶叫する姿に涙がこぼれました

これ、ベニーが着替える時裸になったり、廊下に放尿したりするシーン、欧米は児童ポルノに厳しいイメージなんだけど大丈夫なのだろうか
少し気になりました

主演のヘレナ・ツェンゲルちゃんの演技力は圧巻です
ヨーロッパ人らしく、透き通るような色白の肌、薄いブルーの目、金髪が特徴です
子役でこれだけ人の心を動かす演技ができるなんて一体何者?

この作品で唯一不満があるとしたら長過ぎること
似たような感動シーンが重複して出て来ます
また、区切りでここで終わりかなと思ったらまだ続きあって、その後ウルウルして今度こそ終わりだろと思ったらさらにまだ先がある
着地点がドンドン先延ばしになって、その終わり方も、結局どうなった?って感じでした

もし、鑑賞予定の方は、メンタルの安定してる時をオススメします