建野友保

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいの建野友保のレビュー・感想・評価

4.0
救いようのない映画だという感想はある、だろうと思います。でも、いつか救われるはずと最後まで見届けた自分は何様なんだろう? そもそも救うってどういうこと? 本気で救える覚悟はある? ひょっとして自分が救われたいだけ? そんな考えがグルグル渦巻く、容赦のない刺激的な作品。けっこうグサグサ刺されます。
そして最後のニーナ・シモンの曲で作品のテーマが仄かに見えてきます。彼女がこれから周囲と折り合いをつけながら生きていくには、どうしたらいいんだろう。そういう社会ってどういう社会だろう? 観終わった後でいろんな人と会話したくなる映画ですね。制作者側に相当な覚悟がある作品だとも感じました。
救う側と救われる側の役割が固定化しちゃうのって、どこか歪(いびつ)ですよね。映画の中では、彼女にも逆の役割を担おうとしたシーンがありました。そこに安堵する気持ちはあったかな。
それにしても9歳の若さで主演した彼女へのケアは大丈夫でしょうか。そこだけが少し心配。
建野友保

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