このレビューはネタバレを含みます
ため池で遊んでる仲間を羨ましそうに眺めながら、チラチラと別の方へ視線を移す。そこには、行くのを渋って俯いてる少年がいた。…という冒頭のシーンで、もう完全に心を掴まれた。また、過去と現在が入れ替わる構成も混乱せず、しっくりと気持ちがいいのだ。
食事から溢れる、ささやかな幸福感もいい。湯気が立つ、大きな白い蒸しパン。お父さんは息子に「これも食え!」とあげる様子などから、本当に大切にされているのが分かる。その息子が亡くなってしまう。なのに、2枚目の写真の息子は誰なのか。あと、この食事も同じ蒸しパンなのに全然違う。
ベルリン国際映画祭で最優秀男優賞、最優秀女優賞を受賞するのも納得。演技ということを忘れるくらい、完全に夫婦なのだ。あと、30年の時間経過に合わせた老け方も自然。この父親役の人、本当に良かったなぁ!目の奥の感情とか素晴らしかった。
貧しかった時代や、一人っ子政策、2010年代の中国、同じ日に生まれた子供をきっかけに家族以上の関係となる2組の夫婦、3時間になるのは納得。むしろもう少し見たいくらいだ。映画を見た!と思える作品。派手さはないけれど丁寧で、心に沁みる作品です。私はあと1回見に行きます。
カメラワークもとても良かった。中国映画、凄いなぁ…。そして白い蒸しパン食べたい。
この作品がDVDになったら、夫婦とか親にあげたい(●´ϖ`●)
----------------------------
2回目 渋谷 ル・シネマ
2020/07/22
この映画を見終わったときに絶対食べたくなるから、マントウのお弁当を作った!
葱花巻も。映画のように熱々じゃないのが残念(●´ϖ`●)そしてチャイナシャツとカンフーパンツで、完全に中国!
2回目だけど今回も泣いた!熱々のマントウを二つに割って夫に渡したり、夫がコートのファスナーが噛んでしまってもたついてる時にサっと助けたり、飛行機が揺れた時に咄嗟に妻の手を握ったり。夫婦は2人で1つなんだなぁ。
脚本も丁寧で、この悲しい出来事には、この背景があったのだと分かりやすい。時系列順ではない作品のため、少し混乱する部分はパンフレットに説明が書いてあって、それを読みながら思い出すのもよい。あと、2回見てもやっぱり思ったけど、30年の経過を表現するヘアメイクが凄く自然!