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パドルトンのKのネタバレレビュー・内容・結末

パドルトン(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

7/9/2023 thr 13:38 Netflix

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もし天国から君に連絡が取れるとしてーー
0.001%でもチャンスがあるとして、連絡して欲しい?


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誰かの記憶にある限り死は死ではないという使い古された説があるが、アンディがパドルトンを続ける限り、あの階上に住んで彼との日々を思い出すたび、きっとマイケルの死は訪れないんだろうな、と思う。


/関係性がそこにあるだけだった。理想で究極の友人関係かもしれない。描かれていることだけが真実。男性同士のケアーしかも中年のーを、ここまでシンプルに真摯に描いた映画ってなかったんじゃないか。(それだけで500点。)
マイケルとアンディの二人は、実際ほとんど互いの過去を知らないし作中でも描かれる事はない。ただただ上下階に独居し、暇があればピザを食べたりパズルをしたり彼らが編み出した"パドルトン"をしたり、といった仲。踏み込んで嫌な空気になることも、要求しすぎてパワーバランスが崩れることもない。勿論ホモフォーブでもない。こうなりたい……。

Miss you alreadyを思い出した 泣 あれ凄い好きな作品だったんだよな。こんな好きなのに、誰かを手放したくないのに、痛みなんて感じたくないのに、君はもう行ってしまうよ。愛してるよ……。。


/すげ〜柔らかく撮られているし、役者も色気を極力排除したフツーの見た目でフツーの演技してるのに、マイケルが"少しでも調子がいい時に死にたいからさ"と決断してからの時間には物凄い緊張感が漂っていて息が詰まった。


/嫌味じゃなく描かれている中年女がホテルのスタッフとして、貶されることもなくキュートに出てきてたのが良かった〜〜〜!"夫は数年前に亡くなったけど、今も一緒にいる でもここにはいない"。

ただ、Aスペクトラムの人間としては性愛主義的な視線を向ける彼女(=世間)を疎ましく思うし、でもallyとしてヘテロだけがのさばる世の中として色眼鏡かけてたくないし、しかしshipperとしてはある関係を性愛として組み立てる時もあるから、本当に細やかにいろんなこと考えて生きていかなかんなと思う次第だった。。。現実の人間関係に勝手に踏み入る事は唾棄すべき行為だが、同性間の"愛情"(この場合広義の)を無視して生きていくつもりもないから。『怪物』で"アイデンティティをクィアに設定していない"と言うなという話、『CLOSE』で勝手に他人の人間関係に踏み込んでラベリングをするなという話、そんで最近の"BLカップリング左右表記セックスポジションと結びつけられすぎで細やかな人間関係を表す言葉になり得ない問題"と合わせて立て続けに現れるあれそれに本当に色んなこと考えてるよ、この頃。他人の生を消費しない生き方、してこーな……。。

(家族になるための話ではないので完全に余談なんだけど、なんか、現状同性が互いをchooseして家族になれないの本当にバカらし〜ぜ〜、と心から思った。未だに血統至上主義よね。今作の二人が家族だったらもう少し全てがスムーズだったよな、と(困難が描かれる場面はほぼないので完全に想像の域を出ないが/しかも誰かがある二人の組み合わせを見て、性愛関係にあるとかそうではないとかすら勝手にジャッジしない世界であって欲しいが)。男女ペアだったら性愛のない間柄でも婚姻関係が結べるのに、同性間でそれがあり得ないものとされる理由って何だ。特に男二人が共に行動することに何らかの意味を求める世界って……おfu-k家父長制……。この世界ではまだ他人が他人に対して支配的である。宇宙人ジョーンズの気持ち。)


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ダチョウ牧場見に立ち寄るシーン可愛かった🦃

そういえば"グッドオーメンズってパドルトンかもな"みたいなツイートを読んでふと観たんだけど、そうなの?S2勢? (現時点ではS1最終話から2個目くらいまで観てる)

アンディの階下、マイケルの部屋に新しい親子が移り住んでくるという救いのある終わり方で助かった〜、こちらの心まで死ぬわけにいかないと思ったから……。
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