chinsuko

ワン・セカンド 永遠の24フレームのchinsukoのレビュー・感想・評価

3.8
1秒(24フレーム)に写った我が子の姿を映画で見たい男と少女の出逢い

娘の姿を見るために中国の砂漠を徒歩で進む男。男は娘がニュース映画に1秒写っている事を知っていた。

文化大革命時代の中国は貧しく映画は大きな娯楽であった。そんな中、映画のフィルムを巡って男と少女が出会う。
男と少女は目的は違うがフィルムを欲しがっていた。やり取りをする中で、お互いの目的を知り、助け合うという交流が生まれる。

『初恋のきた道』のチャン・ツィイーを思わせる少女の姿や、広大な砂漠、古びた公民館のような映画館の描写は、チャン・イーモウ監督の原点回帰を思わせ、ノスタルジックな気分に酔う。

男が何故そこまでして1秒を見たいのかは語られないが、裏話というかカットされたエピソードで「男の娘は死んでしまっている」というものがあったらしい。そう聞くと納得とよりエモーショナルになると思うのだが、敢えてカットしたのはそこにインパクトを置きたくなかったとも思える。

昔を懐かしむも良し、男や少女に同調するも良し、見た人によって感じる範囲を特定しない、良い作りの様に思えた。
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