モカ

赤い闇 スターリンの冷たい大地でのモカのレビュー・感想・評価

4.0
原題『Mr.Jones』こと『赤い闇』。
ソビエト連邦を題材にした作品。
邦題の“闇”は国政の闇の部分を表現してるのが伝わってくるけど、“赤い”は旧ソ連の国旗の色を指してるんでしょうか……?

それはともかく、原題の“ジョーンズ”というのは実在した英国の記者でした。
実物はどうなのか知らないが、映像内では腐ったメディア人とは対照的な存在で、強い正義感を持った人物として描かれています。

それと副題がすでに作品内容を表してるけど、この映画はネタバレを極力抑えるよりも、むしろ時代背景をある程度知っておいてから観たほうが楽しめるかもしれない。
難しい作品ではないものの、視聴者に何を伝えたい作品なのか、予告編くらいは押さえたほうが観やすいですきっと。

自分の場合は何の話なのかも知らずに手に取ってしまったけど、うまいこと自分好みの作品だったので結果オーライ。
『一九八四年』で有名な作家のジョージ・オーウェルが登場し、『動物農場』の執筆活動に従事してることで何もかも合点がいったんですが、もちろんソビエト連邦スターリンの独裁政権の闇をえぐったものです。

ただこの映画、こういった分野に興味のない方からすると決して面白いものではないでしょう。というか、興味あるなしに関わらず全然ハッピーではない、暗く重たい話です。
若き記者ジョーンズが、まっすぐな信念を持ちながら当時スターリン政権下に置かれていたウクライナの小村を訪れる部分がこの作品のいわゆる見どころの一つなのでしょうけれど、そこで目の当たりにする村人の凄惨な暮らしぶりは、国家繁栄の美辞麗句の裏に潜む陰惨な問題を我々視聴者に強烈に突き付けてきます。

それでも観て良かったと思えるのは確かで、Mark数の少ない日陰の作品に留まってるのが勿体ない、恵まれない伝記物でした。
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