みーちゃん

赤い闇 スターリンの冷たい大地でのみーちゃんのレビュー・感想・評価

3.9
もっと前に観たのだけど、レビューは書けずにいた。でも言語化しないと忘れそうなので投稿することにした。

いま起きていることを知るために、過去に起きたことを学びたいと思って観たのだけど、知らないことばかりで勉強になった。

先ず、スターリン政権下の1932-33年に、ウクライナで発生したホロドモールを知らなかった(こんなに大規模な人工的飢饉の歴史的事実を知らないなんて怖すぎる)。生死をかけて現地に潜入したイギリス人ジャーナリストのガレス・ジョーンズのことも、彼と対比して描かれるニューヨーク・タイムズのモスクワ特派員ウォルター・デュランティのことも、初めて知ることができた。

観た直後は、描き方が抑え過ぎな気がしたのだけど、アグニェシュカ・ホランド監督のインタビューをいくつか読んだり、時間が経ってからの心の残り方を考えるうちに、例えば飢餓で人間が死ぬとはどういう事なのか、飢饉で村が全滅するとはどういう状態なのか、そして真のジャーナリズムとは?など。東欧の極寒の描写と相まり、そのミニマルさが逆にエモーショナルに感じられる気がした。