takumi

赤い闇 スターリンの冷たい大地でのtakumiのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公は教養と理性、強い正義感を持ち、とても好感が持てる。彼なら何かを良い方向へ変えてくれるような気にさせてくれるが、ホロドモールは既に起きてしまった歴史的事実であり、それを食い止めることはできないという悲しさ。

モスクワからウクライナへと場面が変わると、豪華絢爛だった色彩はモノクロへと落ち、主人公が地獄に足を踏み入れたことを教えてくれます。といっても、主人公はほんの数日飢饉を体験/目撃しただけで、早々に秘密警察に捕ってイギリスへ帰国することになります。実際にその時代のホロドモールを生きた人々は、より筆舌に尽くしがたい凄惨な経験をしたことは容易に想像ができます。

この世界にはあまりにも惨く、目を覆ってしまいたくなる出来事がたくさんあります。映画は娯楽メディアという立ち位置の都合上、その惨状をそのまま伝えることは中々難しいですが、それでも、独裁や恐怖政治が引き起こす凄惨な末路の一端は垣間見せてくれた気がします。
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