みむさん

The Ground beneath My Feet(英題)のみむさんのレビュー・感想・評価

3.5
マリー・クロイツァー監督はこの映画のあとヴィッキー・クリープス主演「Corsage」を撮ってた。

ヴァレリー・パフナーが美しかったが悲痛だった。
不完全な姉を持つキャリアウーマンが姉の存在を隠しながら仕事に没頭するが、仕事と私生活のバランスが崩れていく…という話。
「ありがとうトニ・エルドマン」をシリアスに、サイコロジカルドラマにしたような印象。

ローラは仕事仲間には自分は孤児として育ったと言い、姉エリーゼの存在は「恥ずべきもの」として隠す。
姉が自殺未遂を起こしたと連絡が入るが薬の投与ミスだとして精神病院にとどめる。
冷酷すぎるがやはりそこは姉なので、罪悪感を感じ世話をするのだけど。

姉は精神病院で電話を使用禁止されてるはずなのにローラに電話してくる。しかも近くで見ているぞ等と言う。一体どうなってるのか?

お仕事ドラマのほうもキャリアアップ志向でありながら上司と同性密愛、多様性が重んじられるこの時代、同性愛を隠す必要はないのだけど、上司と部下という関係上公にできない関係。マイノリティが窮屈な社会ではないが別の意味で窮屈にならざるを得ない。そのパターンもありそうな話。

仕事にのめりこむと私生活の不充足感で凹んだり疲れたりは多くの人にあるかもしれないが、ローラの場合さらにゴリゴリに仕事に没頭し、姉に対する罪悪感を振り払い、なんとか「しっかりしている自分」を保とうとする。その考えは程度は違えどわからなくもない。
ネガティブ思考に支配される前に負の感情をかき消そうと必死になっているように見えるから。
ローラはそれで今まで邁進してきたんだろう。

そんなローラに、もしも立ち止まらざるを得ない状況が訪れたら…!?

説明を省いた部分もあったが、思わぬ形で暗い影が忍び寄る的な話と思うとベースのストーリーは王道的だがヴァレリー・パフナーの演技もあいまって面白かった。

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