黒柴

1000の言葉よりも -報道写真家ジブ・コーレンの黒柴のネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

そもそも目線が違う。「イスラエル人から見たパレスチナ」の目線ではパレスチナ人の抵抗は全てテロとなってしまう。

報道写真家ジブ・コーレンはイスラエル人。この人の撮る写真全ては抵抗するパレスチナ人となり、そもそもパレスチナにイスラエル建国をごり押ししてパレスチナ人を追い出し、今の領土問題、ずっと続く紛争へと血で血を洗う、終わりの見えない戦いになっているのは、あたかもパレスチナ人が抵抗してるからと捉えてる感じもする。今でさえも、イスラエル人側に犠牲が出ると陣地取りみたいに、イスラエルの入植住宅を建てる事を繰り返しているらしい。アメリカから供与された最新鋭の武器を手にパレスチナ人を恫喝するシーン。
投石、自爆テロでしか抵抗出来ないパレスチナ人。力の差は明らかなのに強行路線を貫くネタニヤフ。無抵抗で武器も持たないパレスチナ人を迫害し続け、戦争犯罪と同じ行為を行いながら国連も隣国も警告さえしない。裸の王様イスラエル。

イスラエルで起きた自爆テロもジブ・コーレンはテロの恐怖を伝えるだけで、その背景には一切触れていない。なぜ?パレスチナ人が抵抗するのか?ユダヤ人目線ではなくパレスチナ人目線で描かなくては、事件の本質、根底にある問題を全く見ずにして、テロの恐ろしさに終始していては、益々パレスチナ=テロ国家と言う間違った図式を訂正する事は出来ない。

しきりにジブ・コーレンが「歴史的なスクープを撮りたい」と言っている。歴史的なスクープ?彼の言うそれは争い?殺し合い?最後のテロップで この映画をイスラエル、パレスチナの被害者に捧げる と流れる。本当にこの人は根底にある問題を理解しているのだろうか?
黒柴

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