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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
映倫区分 R15+
原題Der Goldene Handschuh.
製作年2019年。上映時間110分。 

※胸くそ映画は勘弁してくれとお思いの方は避けた方が無難な作品だと個人的に思います。⚠️

しかし、個人的には、ただ単なる胸くそではなく、演出やら俳優陣の作品にたいしての演じかた、実際の事件の忠実性と脚色とのバランスには感服したかな。
せやし、汚ならしいだとかえげつないだとかムチャ感じたけど、そこにうら老女の娼婦だけではなく、普通の若き女子をからめて登場させる事で、日常に潜むイカれた野郎がいる怖さを増してるかと思います。
隣に暮らしてるかもイカれた野郎が。。。
ファティ・アキン監督(小生は初観、写真見たら監督自体怖い🙇‍♂️)が、1970年代の独国・ハンブルクに実在した5年間で4人の娼婦を殺害したイカれ連続殺人犯の日常を淡々と描いた小説作品に基づいてますが、小説の作者であるハインツ・ストランクがバーに座っているカメオ出演を見ることができますよー。
作品はサスペンスホラー独国仏国合作映画っす。
サイコパスキラーと云うよりも、アル中ゆえの酒で頭逝ってもた野郎の話かな。
お話は、
第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後の独国で幼少期を過ごしたフリッツ・ホンカ。
彼はハンブルクにある安アパートの屋根裏部屋に暮らし、夜になると寂しい男と女が集まるバー『ゴールデン・グローブ』に足繁く通い、カウンターで酒をあおっていた。
フリッツがカウンターに座る女に声をかけても、鼻が曲がり、歯がボロボロな容姿のフリッツを相手にする女はいなかった。
フリッツは誰の目から見ても無害そうに見える男だった。
そんなフリッツだったが、彼が店で出会った娼婦を次々と家に招き入れ、『ある行為』に及んでいたことに、常連客の誰ひとりも気づいておらず。。。

古今東西、昔から様々な手口の極悪な犯罪者は存在するし、今後も途絶えることはないやろなぁ。
その確率の程はわからへんが、一定確率で世に輩出されていく恐るべき凶悪犯罪者たち。
その度に一般市民たちは身の危険を感じながら固唾を飲んで犯人逮捕を待ち望んで、逮捕後に明らかになってくる動機や手口に驚愕しながらも怖いもの見たさで覗いてしまう対岸の火事的な人の性。
映画『ハウス・ジャック・ビルト』もそないな実際の事件でメチャクチャ醜悪な作品やったが、それでもまぁ見方によっちゃスタイリッシュさやら、女優の美しさとかの上辺の体裁を纏っていた。
しかし、こちらの作品は、イケメン俳優を醜く特殊メイクしたりと取り繕ろうとしてない。(イケメンは特殊メイク越しにもわかるがそれが余計醜い)
マジにクソ醜悪に満ちてて、カオスと醜さ、汚ならしさ、鼻つまみたくなる臭い
アングラ犯罪映画によくあったどうしようもなく退廃的な雰囲気を、腰を据えてしっかりと、淡々と並べて描いてはいるかな。
胸くそ悪くなるが、それが監督の思惑なら、演出が知的で細かく、キレがある気はしなくはない。
呑み屋の女性たちの与太話、野郎のクソ虚栄心、こんなんは意外にも普遍的な人間の姿として入ってくる人もいるんちゃうかな。
見た目の気持ち悪さが観賞後にも続くその胸くそ的系列なら秀作やと思う。
フリッツ・ホンカはシリアルキラー(サイコパスとは違うかな)のなかでもアナーキーキラーで、その本能から突き動かされる殺人動機の根本的な部分てのは、満たされへんイカれ過ぎな性欲や、アルコール依存に依拠するものやろし、真に精神異常系の殺人者とまでは云えないんちゃうかな。
永平寺で修行したらなんか悟りよるかも。
とは云えあないに行き過ぎ衝動に女子なら的にヤっちゃうのと、腐れホンカに乗ってしまう婆さん娼婦も含め、もうそこにゃ常軌を逸脱した精神状態にあるとしか云えへん。
ある程度は誇張だと思うけど、胸くそにしても、めちゃ強烈な作品でした。
kuu

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