フォンザヲ

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのフォンザヲのレビュー・感想・評価

3.8
実に気持ちの悪い映画である。
重度のアルコール中毒患者であるフリッツ・ホンカ。街全体、いや国全体が鬱蒼としていた頃、フリッツ・ホンカという怪物が登場する。
ホンカは行きつけのバーで獲物、主に性欲の捌け口をハンティングするのだが、このバーも実に気持ちの悪い雰囲気である。
日本でも田舎に行けばこのようなスナックがある。酒と性しか楽しみのない奴らの掃き溜めである。
掃き溜め同士が求め合う姿。
何か、極僅かに光るものがある。
女が健気にホンカの家を掃除しているところ。
弱い。彼らは圧倒的に弱い。弱いから他人に縋る。それが見ず知らずの醜い男であっても、殺人鬼であっても。
誰かに支配された方がよっぽど楽なのである。
この精神がバー全体に染み込んでいて気持ちが悪い。
ホンカ自身もその1人で、インポや酒毒という後ろめたさに怯えている。
ようやく見つけた光さえも、自ら摘み取ってしまうほどホンカの精神は破綻している。
独りで苦しめないほど、彼は弱く、醜い。
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