イトウモ

ゴーストタウン・アンソロジーのイトウモのレビュー・感想・評価

2.8
「ヴィクとフロ」のドゥニ・コテ新作

題材はとても面白い。
Irenee les naiges というケベック州の寒村でシモンという若い男が事故死し、彼の死は事故だったのか自殺だったのかを巡って残された家族を中心に250人しかいない村人たちが不安を募らせていく。
並行して、街中で見知らぬ人影が多数目撃されるようになり、都市からこの謎を解明すべく役人が派遣されてくる。村長的な立場にある中年女性の宗教家は、1984年に四人の子供とともに一家心中をはかった男の話を口にする。

幽霊が現れる時の怖さはなく、銅像のような喋らず、ほとんど動かない人影が画面に写りこみ、ときに近寄ってくる。そうして村そのものが冥界と繋がってしまうというコンセプトだ。幽霊の撮り方が完全に心霊写真で、それはそういうコンセプトなのだと思うが動きがないのは退屈だ。

基本的に幽霊を眺め、不安がる人ばかり撮っている。心霊写真的な静止画と、村人の会話の往復。こんなに面白い題材、小道具、つまり人間以外のものを効果的に使えばかなり面白かったんじゃないか。