リョウ

ペトルーニャに祝福をのリョウのレビュー・感想・評価

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)
1.5
冒頭ノリノリのギターサウンドで幕を開けるこの映画。思わずここが岩波ホールだということを忘れてしまいそうだった。
ペトルーニャ、32歳職無し、男無し、太め。母親の薦めで渋々仕事の面接に行くも母親からのアドバイスは「25歳って言うのよ」ペトルーニャもペトルーニャだが母親も母親である。年金とか社会保証の話してたのに年齢詐称が上手く行くわけないだろ?
そんな面接先、面接官からは「42歳かと思った」とか「全然そそられない」とののしられながらも何故かセクハラを受けてしまう。
そんな面接の帰り道、年末の真冬というのに何故か半裸の男性集団と遭遇してしまう。寒さに震えながらも川の中で司祭が十字架を投げるのを懸命に待つ半裸集団。どうやら年に1度の宗教上の儀式らしい。この十字架を受け取ったものは幸せになれるらしい。
「アイヤ~!!」
突然発狂して川の中に飛び込むペトルーニャ。
「取ったど~!!」
女人禁制のイベントでまさかの出来事。怒り狂った半裸集団は強引にペトルーニャから十字架を奪い返す。
が、意外にも司祭は十字架をペトルーニャに返す様説き伏せる。この十字架は俺のもんだと譲らない半裸集団。そうこうしているうちにペトルーニャは十字架を奪い返し我が家へと逃走してしまう。
予告編から面白そうと思っていたがとてつもなく強烈な出来事だった。
最初日本で女性が土俵に上がってしまったみたいなものだと思っていたがレベルが違った!
男達の怒り具合がまさにマッドマックス!きっと彼等にとってはかけがえのない神聖なものを汚された以上の何かがあるのだろう。
だがこの映画ペトルーニャが警察署に連れていかれてから急にテンションが下がってしまう。
まずペトルーニャとの警察の質疑応答が中途半端。「私は逮捕されたの?」に対する質問をはぐらかす警察達。
対する警察からの「何でやったん?」的な質問もまともに答えられないペトルーニャ。そりゃそうだ。別に彼女は何か世間に対するメッセージや世間を変えてやろうなんて意思はなく衝動的に十字架を取ってしまっただけだから。
「私は本能で動く動物と同じ」と嘆くペトルーニャ。彼女はただ普通の人と同じ様に幸せになりたかっただけなのに。
しかしさっさと十字架を返せばいいのに全く返す意思を見せないペトルーニャ。まるで十字架を持っていれば勝手に幸せになれるかのように。
この辺りから観るのが億劫になってくる。警察署の外で男達が暴動を起こしてるから一向に警察署から出られない。
おまけに誰も具体的な行動を起こそうとしないから話がだれてくる。警察も司祭も心の中では女性が十字架をとってもあまり問題ないと考えてる様だ。世間もそんなに関心を持っているわけではなく熱くなっているのは暴動を起こした男達と1人の使命に燃える女性レポーターのみ。
こんな大事件を巻き起こしてしまったのにラストを見ればわかるようペトルーニャが本当に求めていた幸せとはやっばまりアレだったのね。何だあのラストのペトルーニャの表情は!?
リョウ

リョウ