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エリサ&マルセラのERIのレビュー・感想・評価

エリサ&マルセラ(2019年製作の映画)
3.3
まるで記録映画を見ているような作品だった。

スペインで初めて女性同士で結婚をした人。エリサとマルセラ、これは1900年ごろに本当にあったお話。

こういう作品を見ると世の中には無意識に受け入れてしまっているルールや固定概念、宗教観、世間体があって、それをはみ出る人に向ける社会の視点はいつも驚くほど冷たい。

人が人を好きになったただそれだけのことのように思うけれど、女性は男性を好きになるのが当たり前とされる世界で自分らしく生きることのなんと難しいこと。

人には人の数だけ正しさがある。それはとても繊細だから、誰かと誰かの意見が相反するかもしれないけれど、自立と解放で受け入れていきたい。自分の思い込みで闇雲に誰かを排除していないか。



孤児として育ち10歳の頃、両親が迎えにきた時ハグさえもしてもらえず愛を知らずに育ったマルセラ。厳しいカトリックの中で育ったが神様を信じず結婚もましてや男性との恋など考えられなかったエリサ。二人はまるで必然かのように出会い、惹かれあった。

一度引き離されるも教員の免許を取り自立した時、二人で暮らし愛し始める。二人の間に誰も入る隙などなかったはずが、マルセラが街の男性から口説かれ始めたのを機に、大きな決断をする。

二人が当然のように周囲から認められ生きていくためには、結婚をすることが二人にとってとても大きなことだった。女性同士では結婚ができない時代に、エリサは男装し周囲に嘘をついて教会で結婚式を挙げた。

二人が愛を貫くために身分を偽り、文書を偽装したり、性別すら変える必要があった。それを世の中は認めなかった。

男装がバレて、村中の人から、石を投げられ暮らせなくなった二人はアルゼンチンで逃げるように暮らす。

エンドロールで流れるご本人のお写真にグッとなる。
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