てっぺい

イエスタデイのてっぺいのレビュー・感想・評価

イエスタデイ(2019年製作の映画)
4.0
【名曲で遊ぶ映画】
ビートルズがいなかったら?そこから発想できるアイデアが満載。名曲の数々はもちろん、究極のビートルズ愛な観客へのサプライズあり、歌詞をなぞる展開も多数、いい意味で名曲で遊んでる。
◆概要
イギリスのファンタジー・コメディ映画。監督は「トレインスポッティング」のダニー・ボイル。脚本は「ラブ・アクチュアリー」のリチャード・カーティス。出演はイギリスのドラマ俳優ヒメーシュ・パテル、「ベイビー・ドライバー」のリリー・ジェームズ、「ゴーストバスターズ」のケイト・マッキノンの他、エド・シーランも本人役で出演。
◆ストーリー
シンガーソングライターのジャックはある日、交通事故で昏睡状態に陥ってしまう。目を覚ますとそこは、「ザ・ビートルズ」が存在しない世界になっていた。
◆感想
溢れまくるビートルズ愛。名曲の数々に、映画館で体がリズム取りっぱなしだし、ファンにはたまらないサプライズの描写も。“ビートルズがいない世界”から発想できる事を目一杯作り上げた映画だと思う。随所に見られるコメディ要素も、クスクス笑いながら楽しく見られる。
◆ビートルズ愛
まずはこれに尽きる。登場する名曲の数々はもちろん、そもそも映画のタイトルから、そのフォント、ポスタービジュアルまで、ビートルズがいない世界を描く映画なら、当然やってくれるだろうオマージュを当然やってくれている。これがまず満足。

◆以下ネタバレ

◆脚本
ジョン・レノンが登場するのには驚いた。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にも見た史実への復讐。ジャックとジョンのハグは日差しと重なって、涙腺をくすぐる神々しさだった。ビートルズファンにはたまらない描写だし、「これはビートルズへのラブレターだ」と語る監督の、究極のビートルズ愛の形だと思う。ファンタジー映画として、発想が行き着くとこまで行き着いてるのが素晴らしい。そしてそのジョンが、ジャックを最後の決断に導く脚本の美しさ。さすがのリチャード・カーティス!自分が「アバウト・タイム 愛おしい時間」が大好きなのもあり、彼の才能には驚かされるばかり。
◆コメディ
家族に「レット・イット・ビー」を披露するくだりは爆笑!絶妙な間で、三回同じところを演奏させられ、名曲の誕生なのにと憤るジャックに家族がドン引きするのはもう最高だった笑。リバプール駅でエルとジャックのテーブルに同席しようとするロッキー然り、映画を通してふんだんなコメディ要素で楽しく見れた。
◆ラブストーリー
そんなコメディであり、ファンタジーな映画ながら、本筋は真実に対するジャックの心の葛藤と、エルとのラブストーリー。見ているこちらがウズウズしてしまうほど、オセロの同色面がくっつかない(伝わるだろうか笑)もどかしさな2人。そんな2人も、やはりビートルズの曲の歌詞をなぞるハッピーエンドを迎えるのもまた素晴らしい脚本力。まるでビートルズの名曲という沢山の火薬玉を使って、これでもかと花火を打ち上げるような映画だった。
◆泣
ビートルズのコアファンではないために、意味ありげなシーンが読解できないもどかしさ。エド・シーランと10分アドリブ作曲対決した時、マネージャーが入室してきた時のウォールアートの意味がわかる方、教えてください泣

「ボヘミアン・ラプソディ」「ロケットマン」、実在のアーティストを主題にした映画の並びで、また本作もかなりエッジの効いた作り。ビートルズがいない世界という裏技な発想で、どんなビートルズ愛を表現してくれるのかなというハードルで臨んだ本作、見事にそのハードルを越えてくれました!

他のレビューもあるので、よかったらご覧ください↓
https://www.instagram.com/teppei_movie/
◆トリビア
○ウェンブリー・スタジアムのライブシーンは、口パクではなくライブ撮影。(https://yesterdaymovie.jp/sp/intro.html)
○ 主人公のジャックはエド・シーランがモデル。(https://nme-jp.com/news/79842/)
○ 主人公ジャックのデビュー・アルバムのアートワークは、ポールやジョンの実際の写真のパロディ。(https://rockinon.com/blog/yogaku/189863)
○ エド・シーランが本作に提供した「One Life」「Penguin」2曲は、映画のサントラ盤に収録されないため、本編のみでしか聞けない。(https://www.fashion-press.net/news/48800)
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