dita

カニバ/パリ人肉事件 38 年目の真実のditaのレビュー・感想・評価

1.0
@シネ・リーブル梅田   

心底観なければよかったと思った。好奇心、下世話、怖いもの見たさ、全部自分の責任というのはわかっているけれど、わたしが普段目を逸らしているいちばん見たくないものを見てしまった。何か違う見方が出来るかもしれないと何とか最後まで踏ん張ったけど、感情が止まってしまってそれどころではなかった。途中で退席すればよかったと思った。

冒頭の30分くらいは全然平気で、ピンボケ映像も顔のどアップも、あぁこれは想像させたいのだな、生理的に訴えたいことがあるのだなと思いながら観ていた。

漫画を映して読み進めていくシーンから著しく気分が悪くなった。殺人という行為があまりにも軽く描かれていた。笑えないよと言う弟の声が笑っていた。理解出来ない行為に対する諦めの笑いだったのだろうけど、佐川氏の性癖、性欲、兄への情、カニバリズムというセンセーショナルな行為、そんなもので殺人を隠すなと思った。被害者に対して彼らがどう思っているかは知らない。でも、笑うな。人を殺したということを過去に置き去りにするな。気分が悪くなったのは自分自身の内面をスクリーン上に見たから、という指摘を受けたとしても、今回ばかりは断固として違うと言いたい。本当に腹が立って、悲しくて、嫌だった。そこから先の展開は正直あまり覚えていない。深呼吸をして吐き気を抑えていたことだけ覚えている。終わって外に出たら、その漫画が売店に置いてあった。限定○部!と書いてあった。また吐き気がした。

失われた命がどうか安らかに眠れますように。安らかに眠ることが出来なければどうぞわたしを呪い殺してください。この映画を観た責任は自分自身で持ちます。
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