ヨッシャー

男はつらいよ 寅次郎恋やつれのヨッシャーのレビュー・感想・評価

5.0
歌子さん再び登場。
前作のりつ子さんのような周囲に依存しない選択を出来る女性の象徴がリリーなら、父や夫などの男に寄り添って(というより男を優先して考えて)生きてしまう女性の象徴が歌子さんじゃなかろうか。
しかし、対照的な女性像が描かれていても、いや描かれているからこそ、この頃の『男はつらいよ』には「女性の自立」という大きなテーマが存在していると見てとれる。
ある意味『女はつらいよ』。
現代人のいう“昭和的”という考えは昭和の真っ只中からすでに“昭和的”な考えだったというのが、特にこのシリーズを見ているとよくわかる。
そして、(ただ単に監督が吉永小百合ファンなだけなのかもしれないが)歌子さんを撮影するシルエットは前回登場時も含めて今まで見た他のマドンナと比べても殊更気合いが入っているし、シリーズ通して歌子さんを大きなテーマの象徴的な存在として捉えていると感じる。 
歌子さん二部作は素晴らしい傑作であった。
「博はとりあえず死ね」をはじめとする寅さんのキレキレ具合も良い。


十三作目
マドンナ:吉永小百合
ロケ地:島根県(温泉津、津和野、益田)
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