QTaka

男はつらいよ 寅次郎恋やつれのQTakaのレビュー・感想・評価

4.0
でっかいスクリーンで”寅さん”を見る。
昔ながらの『映画館』で。
#札幌プラザ25
.
第1作から50周年で、4Kデジタルリマスター。
そのクッキリ、ハッキリな映像を、その頃そうであったように、映画館の大きなスクリーンで見る。
これに勝る贅沢はないだろう。
.
そして、今回は第13作。
「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」
マドンナは、吉永小百合さん。
先日、第5作「望郷篇」を見て、”寅さんの作法”をちょっとだけ理解した。
始まりは”夢”の中。
”おいちゃん”が危篤or臨終。
そして、慌てて故郷柴又の”寅屋”へ帰ってくる。
それから、それから、それから…
結局のところ失恋するのだけれども。
この結末がわかっている物語が、なぜ人気を博したのか。
人気女優目当てだったのか。
そんなことはないだろう。
そこには、渥美二郎扮する”車寅次郎”の人情物語の魅力があった。
そんな謎にも迫りつつ、今日も寅さん。
.
今回のマドンナは、吉永小百合さん。
ところが、冒頭の顛末では、他の女性(高田敏江さん)の話が始まっていた。
あれ?この展開はどうなってるの?
公開当時、観客も当惑したに違いない。
山田洋次監督が、観客に一泡吹かせたということだろうか。
でもこれはいつものサイドストーリー。
その冒頭の顛末もあっという間に破局して、本筋の話へと展開していく。
そして、寅さんうどんをすすりながら、吉永さんに再会。
吉永小百合さん、マジ可愛い。
こりゃ、みんな惚れちゃうよね。
ダメ人間の寅さんの自由奔放な、そして誠実で必死な姿が飛び回る。
リズム感といい、画面展開といい、そして時折登場する的屋姿の寅次郎の流暢な口上といい。
とにかく、定番の場面なんだけど、それが楽しい。
そして、最後は別れがやってくる。
みんなが幸せになる別れって、この映画だけだよね。
もっとも、寅さんは幸せだったとは言えないか。
.
映画における時代や社会の記録性
この映画でも、様々な場面を記録していた。
それは、田舎の温泉街であったり、そこでの日々の暮らしであったり。
一方で、大都会東京のOLたちの姿や、喫茶店などの生活風景。
さらに、マドンナが働く場所として選んだ養護施設の存在。
昭和の最も日本が元気だった頃。
いろいろなことが動き始めた時代でもあったんだ。
みんなが、同じように生きることを認めようとし始めた時代だったんだ。
.
鉄道が登場する。
今回は、ディーゼル気動車が主に出てくる。
温泉津駅、津和野駅などが出てくる。
”寅さん”と鉄道。
一見、無関係に見えるけど、とても重要で切り離せない関係があるよね。
つまり、”旅”に鉄道は欠かせないんだね。
だから、この物語には必ず”鉄道”が登場していた。
それも、昭和の話なんだろうね。
.
エンディングは”海”
前に見た第5作も最後は海だった。
今作も、最後は海で、物語の初めに寅さんが結婚を匂わせたその人(高田敏江)とその家族に出会っていた。
このエンディングで思った。
寅さんは”ご縁”を大切にして、それを辿りながら旅を続けていたんだね。
QTaka

QTaka